「そっか……それで、裕実が幸せそうなら、俺の方も満足かな？」 　そう俺の方は裕実も方に向かって笑顔を向けるのだ。 「ありがとうございます……」 　再びそこで会話が止まってしまう俺達。　裕実といるのは悪くはないのだけど、どうしても二人共会話下手である程度会話のキャッチボールが続くと止まってしまうようだ。 　これが和也や雄介なら会話が続くのであろうが。 　そこで俺は軽くため息を吐く。　その直後だっただろうか、裕実は今度、 「望さん達と暫く会えなくなってしまうんですねぇ。　何だか、今までずっと居た分、寂しくなってしまうような気がします。　だって、今まで本当にいつも隣りに居た人達が一年も二年も居なくなってしまうんですよ。　そりゃ、寂しくなるのは当たり前じゃないですかぁ」 　それが今の裕実にとっての本音なのであろう。　そこに俺の方は目をパチクリとさせてしまっていた。　あまり感情を表に出さないような裕実が急に感情を表に出して言っているのだから。 「あ、え？」 　と俺の方が裕実の今の言葉に動揺し戸惑っていると、 「あ、いやぁ！　今の言葉、き、気にしないで下さいねぇ！　あ、いや、ホント、何でも無いですからぁー！」 　そう慌てたようにこれもまた裕実の方も動揺し俺の方を見ていた。 　寧ろその笑顔の奥に本当に切なそうな寂しそうな感情が見えていたのだから、今表に出している感情が本当ではないという事なのであろう。 「あ、そ、そうなのな……」 　と答える俺の方も何かぎこちなくなってしまっている。 　本当に二人の会話というのは続かない。　本当に人の性格というのはみんなバラバラだという事だからだ。 「あ！　それにさ、一年や二年だろ？　いや、そこの所はどれ位掛かるのか？　っていうのはわからないのだけど、最低一年、最高は今の所は考えてないっていう感じなのかな？　だってさ、先ずは雄介のお姉さんに頼んで、それで、そこから色々とあって、そこまででどれ位掛かるのか？　っていうのが分からないだろ？　下手したら諦めないといけないのかもしれねぇしさ。　それで、例えば直ぐにでも赤ちゃんが出来たなら、そこから一年だもんなぁ。　赤ちゃんが生まれて来てから、またどれ位でこっちに戻って来れるのか？　っていうのも分からない所だしさ。　ホント、今まで裕実達にはお世話になっているのに、それだけ、この島を離れなきゃならないっていう事なんだもんな。　本当に、ゴメン！」 　そう言って俺の方は手と手を合わせ、裕実に向かって思いっきり頭を下げるのだ。　今までに俺が人にここまで頭を下げるという事をした事があるのか？　っていう位、今の俺というのは裕実に向かって頭を下げていた。