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ー至福ー151
しかし確かに裕実の言い分も分かる。
本当に今まで何があっても、俺と雄介、そして裕実と和也というのは出会ってからは離れた事がなかった。 だから今更離れるのが寂しくなってしまったという事だろう。
例え、俺と和也が喧嘩をしたって、間に裕実や雄介が入って仲直りさせてくれたり、雄介と俺が喧嘩した時だって、和也と裕実が間に入って仲直りさせてくれたりしたのだから、確かにその存在が暫くの間無くなってしまうのは本当に寂しい事だ。 そう暫くは当たり前だった事が当たり前では無くなってしまうのだから。
だけど俺達の方は夢を追い掛けたい。 雄介と結婚して子供が欲しい。 という夢は捨てたくはない。
そう今は『友情』と『愛情』どっちを選ぶの?
と言われているのとおんなじ状態なのかもしれない。
もう、そこは俺の方は譲れない。
今回の事に関しては今まで以上に真剣に悩んでいる方だろう。
俺の方だって、ずっとずっと和也達と居たのだから、寂しい気持ちはあるのだけど、まだ完全には離れてないのだから寂しくなるという感情にはなってないからなのかもしれないから平然としていられているのかもしれない。
もしかしたらそれを完全にもう裕実の方は感じているという事なのであろう。
「とりあえず、お前達は風呂に入って来たらどうだ?」
そう俺の方は本当に何も考えずに言ってしまっていたのだが、雄介の方は、
「あのなぁ、今、裕実と望を二人だけにして和也と二人でのんびり風呂に入って来るなんて事、出来ないに決まっておるやろ?」
「あ……」
その雄介の一言で、雄介が今言いたい事が分かったような気がする。 確かに雄介の言う通りだ。 どうしたって、今、裕実と俺だけでここに残ったら気まずいに決まっているのだから。
「なぁ、だから……俺が先に入って来るし……。 和也にそう聞かれたら、そう答えておいてな」
そう言って雄介の方はお風呂場へと向かって行ったようだ。
それから直ぐにそういう事に敏感な和也が、
「あれ? 雄介はどうしたんだ?」
と聞いて来る。
「雄介は、先に風呂入ったぞー……」
俺はそれだけで和也に通じてくれると思っていた。
「あ、そっか……」
そう言いながら和也は天井の方へと視線を向けている所からすると、やっぱり何か考えていて、分かったという事だろう。
「まぁ、そういう事な」
とまで言ってくれたのだから、やはり、そういう事なのであろう。
俺の方はとりあえずリビングテーブルの椅子へと座り、雄介が出て来るまでの間、ボッーとしていた。
その間、裕実と和也は話をしているらしい。
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