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ー鼓動ー159
今回の事に関しては今まで以上に精神的に動いているようにも思えるからだ。
だから雄介は今俺に甘えて来ているのであろう。
俺の方はそんな雄介を邪険にはしない。 確かに少し恥ずかしい事なのだけど、今回に関しては本当に雄介頑張ってくれているからだ。 いやもうそれだけではないのかもしれない。 もう流石の俺だって雄介には慣れて来たのだから、寧ろ全くもって雄介が甘えて来てくれる事が俺からしてみたらただ単純に嬉しい事なのだから。
そんな雄介に寧ろ俺の方が雄介の事を抱き締め返す。
雄介の方はそんな俺の行動に、体の動きを一瞬止めたように思えたのだが、その後は何事もなかったかのように更に俺の体を抱きしめて来てくれる。
久しぶりの自分の鼓動に雄介の鼓動。
しっかりと生きていて、雄介が側に居るって事を教えてくれているような気がする。
今はたったそれだけの事でも嬉しく感じれるようになった俺。
言葉でもなくて、そんな行動だって嬉しい位だ。
そこで何だか悪戯心というのか、それとも雄介がいつも以上に頑張って来たからなのか、俺の方は雄介の額へとキスをする。
「ん? へ?」
気持ち的に慌てたような様子の雄介に俺の方はクスリとする。
「たまには、俺の方からしたっていいだろ? それに、今の雄介っていうのは、色々と頑張ってくれているんだからさ……」
「ん? んー……?」
と何だかハテナマークのような気がするのは気のせいであろうか。
「ん? そうやなくてな……」
そう言って雄介の方は急に座り、こう足を曲げ膝を抱えると、
「もうな、望の気持ちも分かって来たし、俺の方がしっかりせへんでどないすんねん! って思えて来たんや……そう思ったら、俺が色々と動かへんとアカンやろ? だから、今の俺っていうのはいつもに増して動いておるんやって……」
そう言って俺の方に笑顔を見せてくれる雄介。
そこに俺の方は息を吐くと、俺の方も体を起こして、雄介の肩へと腕を回すのだ。
「雄介……ホント、俺の為に色々と動いてくれて、ありがとうな……。 本当に俺、雄介の事を好きになって良かったと思ってるよ。 本当に俺っていうのは雄介に愛してもらってるっていうのが分かるからな」
と俺の方は珍しくそんな事を言ってしまっていたのだ。 何だか今の雄介を見ていたら、そんな言葉を掛けたくなったという方が正しいのかもしれない。
雄介が俺に対して本気だからこそ俺の方も雄介には本気になる事が出来る。 だから今の俺というのは雄介に対してそんな言葉が出たのであろう。
「そやなぁ。 ホンマ、望……ありがとうな。 俺も望の事、好きになって良かったわぁ。 って思っとるし……。 人の事を愛していると恩返しのようにちゃんと返って来るもんなんやろなぁ?」
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