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ー至福ー164
そろそろ雄介だったら何となく察しがつくだろう?
いやこの様子だと全く逆なのかもしれない。 多分、こういう事に関して察しがついてくれるのは寧ろ和也の方だ。 寧ろ雄介の場合、そういう所は鈍感な方なのかもしれない。 それに逆言えば普通の事しか雄介の場合質問して来てないのだから。
雄介はトイレの前で腕を組んで悩んでしまっているのか、なかなか動く気配が無いように思える。
「何も腹壊すようなもんは食ってないように思えるんやけどなぁ?」
まだ、それについて考えてくれていたようだ。 嬉しい反面、早く部屋に戻ってくれないか? と思う。
まぁ、俺の方はもう落ち着いて来た訳だし、このままトイレを出るのもありなんだけど。
「ちょ、雄介……もう、俺の方は大丈夫だからさ、トイレ出るから……」
「……へ? あ、ああ……ほなら、ココ一旦退くな」
そうだ。 雄介がトイレの前から退いてくれないと確かに俺の方は出る事は出来ないのだから逆に退いてくれないと困るという事だ。
何も出ていないのに、俺はトイレを流してトイレのドアを開ける。
本当に直ぐそこに立っていた雄介。
「ホンマにお腹とか大丈夫なんか?」
そう雄介の方は俺の肩まで掴んで俺の目を見て心配したような感じで笑顔で見つめて来てくれる。
本当に雄介は純粋なのかもしれない。
今の雄介の瞳を見て、その純粋さが伝わって来たようにも思えるからだ。
そこに軽く俺の方息を吐く。 だって何だかそんな純粋な雄介に嘘を吐いてしまっているのは俺の方だからだ。
そう、今俺がトイレに籠っていた理由っていうのが、体が興奮状態だったから籠っていた。 という嘘を吐いている。 そこに俺の方が寧ろ後ろめたさを感じたからなのかもしれない。
本当に雄介という人間は純粋過ぎなのであろう。 そこはいいのだけど、それが悪い時もあるような気がする。
しかしさっきの事で俺の体というのは全くもって興奮状態がおさまってしまったように思える。
こういう事も俺からしてみたら初めての事なのかもしれない。
まさかさっきまで硬くなって勃ってしまっていた俺のモノなのだけど、今は完全にいつもの通りだ。
体が興奮状態から恐怖心に駆られた時というのは、急に大人しくなってしまうもんなのであろう。
それはそれで良かったのだけど、それはそれで要は体の方というのはイきそびれてしまったのだから気持ち悪く……ないように思える。 男の体とそうのはそういうもんなんだろう。
それからは雄介と部屋へと戻って、
「なぁ、雄介。 男って体が興奮状態になってる時に例えば地震とか起きたら冷めてしまうもんなのか?」
本当に今の俺と言うのは変な質問を雄介にしていると思う。 だが雄介の方は、ごく普通に、
「そやそうやろう……体はそれどころじゃなくなるんだもんなぁ」
「ま、そっか……」
そう俺の方は変な所に納得し、やっと興奮状態が抑えられた体というのは休まる事が出来たようだ。
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