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ー至福ー182

 それからの裕実というのは、全くもってドジという行為はなく、真面目で大人しくて寧ろ頭の回転やら仕事の早さは和也と一、二を争う位だったのかもしれない。  そんな事を思い出しながら俺の方は和也が作ってくれたオムライスを口にする。  そんな中、どうやら和也と雄介の相変わらず絶好調のようだ。  この二人だって、一時期は険悪ムードだったようにも思えるのだが、今ではこう仲良く会話が出来る仲にもなったようにも思える。  ある時を境に、仲が良くなったように思えるのだ。  まだ和也が俺の事を想っている時には当然仲は悪かったのだけど、新城が俺の病院で働き始めた頃だっただろうか。 そこに和也は悩み、その時入院していた雄介に相談した頃だったようにも思える。  雄介が「和也はまだ俺に心を開いてないように思える」みたいな事を言っていて、二人で話し合っていて、そこから何だか二人の仲が良くなってきたと思えるからだ。  この二人って、似てると言えば性格の方は似ているのかもしれない。 だから逆に合わないっていう人もいる。 もしかしたら和也と雄介の場合にはそういう事なんであろう。  明るくてムードメーカー的な存在で、はしゃぐ時には思いっきりはしゃいで、たまにそこが羨ましくも思える時もあるけど呆れる時だってある。 でも人間なのだから、それぞれ性格っていうのは違う方が楽しいっていうもんだろう。  例えば、俺みたいな奴が集まったって、本当に真面目さんばかりできっと面白みも何も無いという事なのだから。 その中に和也や雄介みたいなお調子者が入ってくれば会話だって盛り上がるっていうもんだろう。  だから俺的にもこのメンバーが飽きないのかもしれない。  そこに俺の方は微笑むと、そんな時に気付くのは和也だ。 「ん? 望、どうしたんだ? 何だか嬉しそうな顔してんだけど……寧ろ、微笑ましそうな表情をしてる。 って言った方がいいのかな?」 「え? あ、あー……別に……」  とそう俺は和也の質問にだけは、そう誤魔化してしまう。 しかも視線を逸らしてしまったのだから、誤魔化しきれないだろうとは思ったのだが。 「え? え? 何々? 望は俺と離れるのが寂しいんだって?」  その和也の言葉と同時に一同が一瞬にして静かになってしまったのは言うまでもないだろう。  その一同の反応に和也が雄介や裕実、そして俺の事を見つめた後で、 「え? 何!?」  と寧ろ言った和也の方が驚いてしまっているようにも思える。 「和也ぁー、流石にそれはなぁー。 今この場では、場が凍る言葉やぞ……」 「はぁ!? え?」 「ホンマ、和也って、空気読めそうで実は読めてないと違うか?」 「え? あ、あー……」  その雄介の言葉に和也の方は流石に気づまそうにしていた。  確かに雄介の言う通り、和也っていうのは空気が読めてそうで読めてないのかもしれない。

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