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ー至福ー183

 逆にその慌てた和也に俺の方は笑えてくる。  和也ってわりと自信家みたいな所があるから、こうたまに慌てる所が可愛いのだから。 「ま、そこは、少しはあるかな?」  何でか俺の方はその和也の言葉に堂々と答える。  またそんな俺の言葉に目を丸くしてジッと見つめて来る和也。  ほら、俺が思った通りの反応を和也がしているのだから俺の方は笑えて来る。  こう大笑いとかそういう事ではなく、クスクスとした笑いだ。  俺だって春坂にいた時とはちょっとは和也達に慣れたのだから、たまにそういったおふざけみたいなのをしたい時だってある。 「え? 望……それ、マジで言ってくれてるのか?!」  そう今度は目をキラキラとさせてこう両手を組み俺の事を見上げて来る和也。 こう表情をコロコロと変えられる和也っていうのは案外羨ましいのかもしれない。 それだけ心が豊かという事なのであろう。 「んー、冗談って言ったら?」  俺がそんな事を言ったら、和也はどんな反応してくれるのであろうか。 人との会話っていうのは、こういうやり取りがあるのだから楽しいもんだ。  しかも俺の方は半分は冗談気な表情で天井を見上げ腕を組むスタイルになる。 そしてたまに悩ましい表情をしたりしていると、和也がふざけたように泣き始め、 「ちょー、望ー、それは、ねぇだろー! 俺達って、十年以上も一緒に居た仲なんだからさぁ!」  ときっと和也の方も半分以上は冗談で言ったつもりのようなのだが、俺と和也以外の裕実と雄介からは、そんな空気がしてないように思えるのは気のせいであろうか。 本当にさっきのように場が凍りついたような空気が漂っているような気がする。  俺の方はそんな空気に気付きながらも、別に俺の方は和也とのその会話を冗談混じりで話をしているのだから、雄介や裕実みたく暗い感じにはならないで和也との会話を続けるのだ。 「まぁ、確かにな。 俺と和也とでは、もう十年以上も一緒に居るんだもんなぁ。 和也がさ、最初、俺と仕事で組み始めた頃なんてさ、ドジばっかしてたじゃねぇか……そうそう、初めて来た裕実のようにな。 ホント、裕実の場合には和也の事を振り向かせる為だって言ってたけど、和也の場合にはマジでだったんだろ? だって、この前、お前のおふくろさんも和也は昔からドジだったんだって言ってたじゃねぇか?」 「え? あ! あー、いやぁー……俺って、そうだったんだっけ?」  何だか今度は俺が和也との思い出を話ししていると、今度は和也までも言葉を濁したり、顔が引き攣ってしまってきているのは気のせいであろうか。  逆に俺の方はそんな和也の反応に首を傾げる。

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