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ー至福ー192
「ホント、お前っていう人間は、俺に優し過ぎなんだよ! 前にも言っただろ? 自分を犠牲にするなって……本当にそういう所、雄介は優しいんだよなぁ。 ホントにホント、俺には勿体無い位なんだよ」
「それやって、前に望にも言ったやろ? 俺は望だから頑張る事が出来るんやって……好きやから大事に出来るんやってな」
「ま、確かに、前にそんな事言ってたな。 でも、マジで俺には雄介っていう人間は勿体無さすぎるっていうの? それに、流石に身構えちゃったけどさ、別に今の俺は雄介と……あー、スるの? いいかな? って……」
流石にそういう事に関しては俺からしてみたら流石に言いにくかった事だけど、今回は恥ずかしながらもそう言ってみた。 そしたら雄介の方は目を丸くしながら俺の事を見ていたようにも思える。 そして、
「あー! ホンマ、望って愛おしいわぁ……」
そう言って雄介は俺の体を抱き締めて来てくれるのだ。
「ちょ、雄介……流石にお前の馬鹿力で抱き締められたらキツいって……」
「あ、そうやったな。 こう余りにも嬉しくて、つい望ん事抱き締めてしもうたわぁ。 でもな、もう少し我慢出来へんか?」
「……へ?」
俺からしてみたら、余りにも意外そうな答えに素っ頓狂な声を上げる。
「もう直ぐ、俺等っていうのは、春坂に戻るやろ? そしたら、二人だけの時間っていうのはいっぱい取れるやんか……だから、そっからゆっくりシたらええやんかぁ?」
雄介のその言葉に今度俺の方が目をパチクリとさせてしまう方だ。
「え? あ、まぁ……そうだけどな」
こうなんていうのか俺からしてみたら拍子抜け状態なのかもしれない。 いや、寧ろ、今の俺の方が雄介の事を求めているという事だろう。
本当に今の俺というのは体がどうにかしたみたいにたまに雄介に求めたい時がある。 きっとそれは本来だったら若い時にシて来ないといけないような事なのであろうが、俺の場合には完全に成人になってから、しかも雄介と初めてシたことなのだから、今変に求めてしまっているという事だろう。
だから本当に急に俺の場合には性欲っていうのが来てしまう。
現に雄介の方はあまり俺の事を求めてないようにも思えるからだ。
だけど俺からあまり求める事は出来ず、今ニュアンス的に雄介に振ってみたのだけど、雄介の方は今度っていう事で今の話は流されてしまいそうだ。
それにそういう所は俺が悪い所でもあるのかもしれない。 そう雄介が俺の事を求めている時に、俺の方は拒んでしまっていたのだから。 だから雄介は俺が完全に拒んでしまっている時にはシないと決めてくれているようなのだから。 でも今の俺は拒んで無かったようにも思える。 だから雄介的には本気で春坂に行ってからにシたいという事なのであろう。
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