シたい俺と人には聞かれたくない雄介。　要は今の雄介っていうのはあまり乗る気ではないっていう事だろう。 「ホンマに望は俺とシたいと思うとる？」 　再び俺の事を覗き込むようにして聞いて来る雄介。 　ホント、今息を吸って吐いてとして自分の事を落ち着かせたた思ってたのに、再び雄介の顔に胸が高鳴ってしまう。　そして一旦深呼吸をして、 「……そりゃ……シたいに、決まってる……だろ？」 　と自信なさげに小さな声で呟くように言う俺。 　確かに俺の方は顔を俯けて答えていたのだが、それでも雄介には俺の事は伝わっていたようで、 「なら、仕方ないか……望がシたいって言うんやったら、俺の方は寧ろええねんけどな……だけど、そう決めたのはええねんけど、望の場合、身構えてしまうんと違うの？」 「え？　あ、どうなんだろうな？　だって、今は俺の方がシたいって思ってるんだから、身構える必要っていうのはねぇんじゃねぇのか？」 「……なら」 　そう雄介の方はそれを合図に俺の方へと近付いて来て、背中をお風呂の冷たい壁に当たった位だっただろうか、俺の方はシャワーのお湯は当たらない所だから良かったものの雄介の方はガッツリとシャワーから流れ落ちるお湯に当たりながらも俺の事をしっかりと抱き締め唇を重ねて来る。　だけど今の俺っていうのは、本当に雄介の事が好きだから、そこは拒まずに、今日は雄介にされるがまなの状態でいるのだ。 　こう今日の雄介っていうのは、角度を変えて何度も何度も深いキスを繰り返して来ているようにも思える。 　今日は拒むような事を言いながらも本当の雄介っていうのは、俺の事を求めていたという事なのであろう。　そして雄介っていうにはこういう事をスる時、何でか黙っている方が多い。 　人によっては言葉で色々と相手の羞恥心を煽り言葉を聞きたいもんだから、そういう風に言う人もいるだろうが、雄介の場合には殆どそういう事は少ないのかもしれない。 　暫く雄介は俺の唇を堪能していたのだが、いよいよ俺の方が苦しくなって来たのだから、一旦離れてくれるようにと、上から流れてくるシャワーの水があまりにも雄介に掛かりすぎて心配になって来たということもあってか、雄介の胸を強く押し除けるのだ。　そう唇は完全雄介の唇によって塞がれてしまっているのだから、口では何も言えない状況だったのだから。 「……へ？　何？」 　俺の唇から離した直後に、雄介は俺にそう聞いて来る。 「お前の髪がびしょびしょになってたから……」 「そんなん関係あらへんやん……今の俺は望に夢中になっておったんやからなぁ」 　そう言いながら雄介は濡れてしまった髪を思いっきり掻き上げる。　そんな姿さえ今の俺からしてみたらカッコいいと思ってしまうのは本当に雄介の事が好きだからなのであろう。