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ー至福ー195
何でか今日の俺は雄介にドキドキしてしまっているような気がするのだは気のせいだろうか。
本当に本当に雄介の事が好きだから、今はこんなにも胸が張り裂けそうにまでドキドキと鼓動が鳴っているのかもしれない。 いやだからって前まで好きではなかったという訳でない。 こう今まで以上にっていうのであろうか。
「ほなら、風呂が嫌やったら部屋でか? そんだったら、望の声、和也達に聞かれてまいそうで嫌なんやけどなぁ? それに、気持ちが冷めてしまいそうやしなぁ……」
そう困ったような表情をしながら言っている雄介なのだが、どうも俺からしてみたら最後の言葉が聞きづてならなかった。
「……気持ちが冷める?! って、どういう意味だ?」
そう軽く雄介の事を睨むようにして見上げる俺。
「あ、いや……それは、悪い意味やなくてな……!」
何だか焦ったように言っているのは気のせいであろうか。
「あー、なんていうんか……今凄く気持ちが興奮状態になってきているのに、そこで、服を着てまったら、その興奮状態が冷めてしまうような気がしてな……」
「それも、おんなじ意味だと思うんだけどなぁ」
「あー……」
再び天井の方へと視線を向けて後頭部を掻き始める雄介。
そんな雄介の困った表情に今日の俺っていうのは笑えて来てしまう。
確かに今さっきの言葉にちょっとはイラとはしたけど、やはり俺の方は雄介の事が好きになって来たからなのか、喧嘩はあまりしたくは無いと思ったのか、それともそこは雄介の優しくて一途な性格なのを思い出したのか、そっと雄介の首に両腕を回すと、
「雄介的にはどっちがいいんだよ……部屋でなのか? お風呂でなのか?」
今日は俺がそういう気分なのか、それとも本当に雄介の事を好きになったからなのか、思いっきり雄介に甘えてみた俺。
きっと雄介からしてみたら、今の俺っていうのは完全に雄介の事を誘ってしまっているようにしか見えてないのかもしれない。 いや実際そうなのだが。
「今日は、お前の気分でいいからさ……」
甘い吐息のような声で俺は雄介の瞳を見つめ言うのだ。
きっと素面の状態で雄介の事を誘ったのは初めての事だろう。 今まではこうなにかと記憶喪失の後遺症だったり、お酒が入っていたりしたのだから、全くもって素面な俺ではなかったような気がする。
きっと俺のさっきの言葉で雄介の方も興奮スイッチがオンになったのであろう。 こう喉を鳴らしていたのだから。
「なぁ、今日は熱とかって大丈夫なんか?」
あ、やっぱり、そこ疑う所だよな。
「大丈夫だ。 記憶喪失の後遺症じゃねぇよ。 本当に俺が言ってるんだから、そろそろ信じろ……」
「え? あ、そやな……」
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