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ー至福ー221
「ん……ゴメン……」
と甘い吐息と共に謝罪の言葉を述べる俺。
確かに前まで俺は人に謝るっていう事をあまりしなかったのだけど、雄介が事あるごとに謝って来るもんだから、俺の方も今では頑張って謝ろうとしているのかもしれない。 それに俺だって本当に雄介の事が好きだから、喧嘩している時間さえも無駄だと思い始めたからなのであろう。
「ゴメン……って何?! 望が何か悪い事しておるんか?」
本当に雄介の場合には悪意も何も無いこう真っ白な無垢な気持ちで聞いて来るのだから、雄介っていう人間は大人になっても純粋なままなのかもしれない。
普通大人になったらこう心や脳で駆け引きみたいなのをすると思うのだが、雄介の場合にはそれが全く無いという事だ。
そんな雄介に呆れたような息を吐きたかったのだが、そこは雄介のいい所と取って、こちらも素直に返した方がいいだろう。
「あ、いや……その……俺が足を閉じようとしてたから、謝ったっていうの?」
俺の方はまだそこの所は素直に言えず、視線を宙へと浮かせてしまっていたのだが、自分的には全然前に比べたらそういう所素直になれたと思えるからいいのかもしれない。
「あ、そういう事な……。 別に、俺の方は怒ってへんから大丈夫やって……な」
そう言って雄介の方はいつものように太陽のような笑顔を俺に向けて来てくれるのだ。
本当に雄介という人間というのは全くもって憎めない。 いや憎めないというのはおかしいのだけど、本当に俺からしてみたら勿体無い人間のような気がする。
そして暫くして、
「もう、中綺麗になったから大丈夫やで……」
という声が聞こえて来る。 そこに俺の方はホッとしたのだが、流石に俺のムスコさんが大人しくする訳もなく、終わったと分かった今でも俺はそこから動けないでいた。
「あー、ゴメン……雄介……先に風呂上がってていいぞ……」
その俺の言葉に首を傾げない訳がないだろう。 首を傾げながら俺の事を見つめて来る雄介。
「へ? どうしたん? 一緒に上がらへんのか? それに、せっかく今のシャワーで体温まったのに、また冷えてまうで……」
「え? あ、いいんだよ。 だ、大丈夫だからさ、マジで先に出てってくれねぇ?」
そう苦笑いを浮かべながら雄介の事を見上げる俺。
今の俺の状態は、本当に雄介にはここから出て行って欲しいのだけど、例え雄介がお風呂場を出て行って、俺が自分でシたとしても、もしかしたらイける事が出来ないのかもしれない。 もう俺の方はそれを何回も経験してきているのだから。
俺の方は雄介と出会ってから、こういう行為について覚えてしまった。 だからなのか体は一人ではイけない体になってしまったのだから。 一人より二人でスる方が気持ちいい。 寧ろ、他人とヤった方が気持ちいいに決まっているという事を体が知ってしまったからであろう。
実際、マッサージだってそうなのだから。 今は色々なマッサージグッズが出ているのだけど、それで一人でやっても気持ちよく感じないだが、マッサージグッズを使って他人にやってもらうのとマッサージ店に行って他人にやってもらうと気持ち良さというのは全然違う。 それと同じようなもんだから、俺の方は一人でシてもイけなくなってしまったという事だ。
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