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ー至福ー224

「え? 望はこんな玩具使わなくても、俺だけで満足出来るって事なんか?!」 「……っ!」  さっき体の熱をおさめて来たばかりなのに、雄介のその一言で再び体が熱くなる。  更に今自分が雄介に言ってしまった事に顔を真っ赤にしてしまっていた。 そして完全に俺の方は今自分が言った言葉に居た堪れなくなったからなのか、布団の中へと潜ってしまうのだ。  寧ろ、それを口にしてしまった自分が恥ずかしい。 「ホンマ、今の望っていうのは、可愛えなぁ……」  そう言って雄介は布団の上から俺の頭をポンポンと撫でてきてくれる。  今の言葉を前言撤回する。 と言ってももう遅いだろう。 もうすでに完全に雄介の耳に残ってしまっているのだから。 「ホンマ、俺の方は望と……あ、いや……この世で一番愛せる人と出会えて良かったと思うとる……。 だってな、ホンマに俺、今が一番に幸せな時やからなぁ……」  そして布団の上から俺の事を抱き締めてくれる雄介。  本当に人の温もりっていうのは気持ちいい。  そう体を重ねる行為とは違う気持ち良さというのか心地良さも入っているからなのかもしれない。 そして自然と鼓動が高鳴って来る。 それだって体を重ねる行為とはまた違う鼓動の高鳴りだ。  そして俺の方はゆっくりとではあるのだけど、布団の中から顔を出すのだ。 それと同時に雄介の太陽のような笑顔が視界へと入って来る。  本当に何も汚れもないような屈託もないような笑顔。  本当に癒される。  全く雄介には腹黒さとか悪意とかいうのは無い。 本当の笑顔に今までどれ位、俺の方は救われて来たのであろうか。 それが好きになって、雄介とは長く付き合って来たし、世間では男同士でっていうのも結婚してもいいと認められて来たのだから、俺の方も雄介とは結婚する気になったのだから。  だからなのか俺の方も少しずつではあるのだけど、雄介には素直になれてきたように思える。 だからなのかその屈託も無いような笑顔に吸い込まれるかのように、俺の方は雄介の頬を片手で包み優しい瞳で見つめる。  そんな俺に一瞬雄介の方は目を見開いたのだけど、それはほんの一瞬でその後というのは、いつものように優しい瞳で俺の事を見つめてくるのだ。  確かに雄介と体を重ねるのも好きだけど、こうして甘い時間を過ごすのも好きになって来た俺。 それもきっと雄介のおかげだろう。 そうその雄介の笑顔が俺の心の氷を溶かしてくれたのだから。 「俺も本当に雄介の事が好き……」  何でか今日は自分もそういう気持ちだったのか、雄介にそう伝えると唇を重ねる。  俺の方だって、流石にもう何回も自分から雄介に唇を重ねて来ているのだから、もう慣れた。 だけど長くはなく唇を軽く重ねる程度のキスが甘くて好きだ。 「ふっ……望……」  そう唇を離すと雄介の甘い声が振ってくる。 そんな雄介にクスリとする俺。

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