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ー未知ー4
「そこの所は分かったよ」
本当に何だか小さい頃に比べたら物わかり全然良くなっているような気がする。 確かに小さい頃から比べたら、そうなってしまうのは当たり前なのかもしれないのだけど。 だけど琉斗の場合、その小さい頃から物分かりが良かった気がするのは気のせいであろうか。
ある時、美里さんが病気で入院してしまった時にだって、琉斗は俺達が預かっていたのだけど、あまり我儘とか言ってなかったような気がするからだ。 いや中学生になってもっともっと物分かりが良くなったのだから余計になのかもしれないのだけど。
「ほな、姉貴に宜しくな……」
と俺が考えている間に雄介の方は琉斗との会話を終えたようだ。 それと同時にその場に立ち上がったのだから。 そう今まで雄介は琉斗の身長に合わせて背を低くさせていたのだけど、話が終わるといつもの身長へと戻したのだ。
それと同時に大きく頷く琉斗。
「じゃあ、バイバーイ!」
そう言って琉斗はその場を去って行く。 そんな琉斗の後ろ姿を雄介は手を振っていた。 俺の方も僅かばかり手を振る。 そう俺の場合のは、雄介みたいな性格ではない。 寧ろ、人に手を振るとかっていう動作はどうしても恥ずかしくてこう軽く下の方で振る形なってしまう。
「ほな、俺達も行くか?」
「そうだな……」
ここはまだスーパーだっていうのを忘れていたのかもしれない。
雄介はエコバックの中に品物を入れたまま、ずっと平気な顔で荷物を持っていたのだから。 そう考えるとやはり雄介はまだまだ力というのはあまり劣ってないというのであろう。
荷物を車の後部座席へと入れて、雄介が車へと戻って来ると、
「なぁ……既に、琉斗は料理一人でしてるんやろか?」
「ん?」
確かにそうだ。 さっき琉斗君と会ったのはスーパーなのだから、ある意味そうなのかもしれない。
「……だよな?」
「ほんなら、これから、俺が毎日のようにご飯作って、琉斗ん家の家にご飯持っていったらええねんなぁ?!」
と急にいいアイデアを思い浮かんだとばかりに、いつも笑顔の雄介の顔がその普段よりも数十倍の笑顔で言っていた。
「ま、確かにそうだけどよー。 ってか、それが、目的でもあったんじゃねぇのか?」
「あ、そうやったんやっけ?」
「ああ、だってさ、雄介は美里さんの事を全サポートするつもりなんだろ?」
「ま、そうやけどなぁ……。 でもな、ほんま、真剣な話……その話いつ行く?」
それを普通に振られた俺。 っていうのか、何だかその話っていうのは俺ではなくて雄介が決めて行くもんじゃないかと思った俺。 確かに俺は関係なくもないのだけど、やはりそこは雄介にキチンと決めて欲しい所なのかもしれない。 要は引っ張ってくれる所は引っ張ってもらいたい所だからだ。
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