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ー未知ー6

「今日は、スマンなぁ……本当に簡単な料理になってもうて……」  そう言って雄介が出して来た料理というのはカレーだ。 だから確かに聞こえて来た音いうのは、野菜を刻む音に野菜を煮る音に最後にはスパイシーないい香りが漂って来ていたのであろう。 「簡単って……」  俺の方は雄介が作ってくれるんだったら、別に簡単な料理でもいいし、特にリクエストとかしてないのだから、そこまで自分を卑下しなくてもいいと思う所だ。 「別に、お前が作ってくれるんだったら、俺の方は何でもいいんだけどな……」  こう何だか急にいつものような会話になれたような気がするのは気のせいであろうか。 いやきっと時がそうしてくれたのかもしれない。 さっきまでイライラモードだった俺も暫く雄介と会話をしてなかったのだから、落ち着けのかもしれない。  それを雄介はリビングテーブルへと運んで来て、いつもだったら、四人で囲んでいた席も今は二人なのだから正面同士で座るのだ。 そして手を合わせて、 「いただきます」  もうこれも俺からしてみたら慣れた事だ。 一人で暮らしている時は全くもって「いただきます」を使わなかったけど、雄介と暮らすようになって、一回雄介に注意されてからは言うようになっていた俺。 そして一口、二口と食べた頃だっただろうか、雄介の口が開くのだ。 「なぁ、これからどうする? 確かに、俺達は姉貴に代理出産とか婚約届を出す為に、春坂に来たのは分かってるんだけど……何から最初にしたらいいのか? っていうのは決めておらんかったやろ? 婚姻届は、ちょっと、まぁ、後にして……ほな、姉貴に代理出産について話そうと思ってねんけど……。 とりあえず、そこは、俺が後で電話してみて姉貴の都合が付く日に話す事にして、望の方はどうするん? 明日からでも春坂病院で働くのか?」  さっき俺が怒っていた内容に雄介は分かっていたのか、どうやら雄介の中でそこは解決して、今度は俺の方の話にしてくれたようだ。 確かに雄介の言う通り、俺の方はここに戻って来たら春坂病院で働く事になっているのだから。  本来なら、今春坂病院の方は、朔望も歩夢もいなくなってしまったのだから人手が足りない所なのかもしれない。 それなら俺が春坂病院で倍で働かないとならないだろう。  しかし二人分欠けてしまっているのだから、直ぐにでも俺の方は働きに行くとして、そこに顔を上げると、 「俺の方は、明日にでも親父に言って来るよ。 寧ろ、そこは早いうちに働きに行った方がいいだろ?」 「ま、そうやねんなぁ……」 「それで、美里さんとの話は、美里さんの都合のいい日でいいよ。 それについては親父に頼むからさ」 「そういう事なぁ。 ほな、俺の方は後で姉貴に電話してみるわぁ……」 「ああ」  そう答えると俺の方は一気にご飯を口の中へと入れるのだった。

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