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ー未知ー7
「あ! 俺も望と一緒に望の親父さんの所に行くわぁ……」
「ん?」
そこに俺の方は首を傾げる。
「へ? 何でだよ……そこは、別に俺だけでいいんじゃねぇのか?」
「あー、なんて言うんか……今までことの経緯と、これからは望と結婚というのか一緒に夫夫 になるんやし、そう色々な意味を込めて、キチンと挨拶しなきゃなぁって思ったしな」
そこで何でか俺の方はクスリとしてしまう。 というのか思わず雄介の言葉に吹いてしまっていたのかもしれない。
「そ、それって、俗に言う、『お義父さん! 僕に娘さんを下さいっ!』っていうやつか?」
と俺の方はふざけて言ったつもりだったのだが、雄介の方は寧ろ真面目な顔をして、
「そうや……」
と答えていた。
どうやら俺的には今さっきの雄介の話というのは、ふざけて言っていた事だと思っていたのだが、どうやら雄介の方は違っていたようだ。 そう本気で言っていたのだから。
そこで俺の方は今の雄介の言葉で目が点状態になってしまってしまう。
俺が驚きで目をパチクリとさせていると、
「春坂に戻って来たんやし、キチンとやるもんはやって行かないとな。 ほんで、早く島に戻る事も考えないと、和也達に申し訳ないしな……」
「あ、ああ……そうだな」
急に雄介の態度が変わったように思える。
多分、さっき俺が怒ったというのか、そんな雰囲気にしたのだから今はしっかりと雄介にそれが伝わっていて、料理を作っている間にキチンと雄介なりにそういう所考えていてくれていたというのが分かる位だ。
そういう真面目な所も俺からしてみたら好きな所なのかもしれない。
それからは、お皿を流し台へと置き、気持ち的にまったりとテレビを見てから、いつものようにお風呂へと入ると、俺達というのは床につく。
今は仮に借りているという状態なのだから、地下にある部屋で寝る俺達。 しかし相変わらず、そういう大人のグッズだらけの部屋だったのだが、俺達というのはもう大分そういう事に関して落ち着いて来ているからなのか、案外、気にせずに寝れたのかもしれない。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
次の日の朝。
俺達というのは昨日言っていた事を早速実行へと移す。
俺は親父へと電話をし、雄介は美里さんと電話をする。
そして先に電話をしたのは雄介の方で、そこはスマホをスピーカーにし、真剣に三人で話を始める。
先導を切って話をしに行ってくれたのは雄介だ。
本当にこういう時の雄介っていうのは頼りになるというのか、真剣な顔して真剣な声をして、いつもの雄介よりかっこよく頼り甲斐がありそうな雰囲気をしているのは気のせいであろうか。
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