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ー未知ー39

 しかし自分でそこに指を入れる行為というのは、どうやったらいいのかが分からない。  そう素面の状態では一回も自分でシた事がないのだから。  しかし雄介がさっきからジッとしたままでいるのは気のせいであろうか。  俺がしている行動に、口も手も出さないのだから。  とりあえず座って足を立てて広げてみる。  本当にこんな格好するなんて事、恥ずかしいのだけど、今日はいつもとは違う行動をすると自分で決めたのだから意を決したように俺は自分の指を後ろの蕾へとゆっくりと入れて行く。  確かに、研修中とかで体の内部に関して習ってはいる。 だから中にある気持ちいいポイントについては分かっているつもりだ。 だから俺はそこを指で探すのだった。  とりあえず絶対にソコだけは誰でも気持ち良くなれるポイントなのだから、とりあえずはソコを突けば気持ち良くなれるという事だろう。  自分のペースで息を吐きながら、ゆっくりと奥へと指を進ませていく俺。  だけどそう割と簡単には中にあるポイントが見つからないようにも思えるのは気のせいであろうか。  しかし見つからないままの状態で中に指を入れているのは痛い。 おかしい。 雄介が中に入れるだけでも気持ちいいのに、自分でやっても気持ち良くなれないのは一体なんなんであろう。  気持ち的に苦痛で顔を歪ませていると、流石の雄介の方も気付いたようで、 「……もう、限界やぁ……」  そう気持ち的に軽く息を吐きながら言う雄介。  「限界?」とは? 今の時点では色々な意味がある。 雄介自身がもう限界という事なのであろうか。 俺が気持ち良くなってなさそうだから限界っていう意味なんだろうか。 それとも雄介が俺に手を出せないっていうのが限界なのであろうか。 そこの所は俺からしてみたら分からない所なのかもしれない。  そして雄介は頭を掻きながら俺へと近付いて来る。 「望は無理せんんでええんやって……こういう事は俺に任せてくれてらええんやからな……。 最初は、望の気持ちがそうなってたようやったから、見ておったけど、段々な、望が気持ち良く無さそうに見えて来て、俺の方が我慢出来なくなって来たんだわぁ……だからな、こういう事は俺に任せてくれたらええねんって……。 確かに、変わった事シてみたいっていう望の気持ちも分かんねんけど、望と俺の場合には全然普通のでもええやんか……何も人と比べる必要なんて無いと思うねんって……」  俺の顔を笑顔で見つめてくる雄介に俺の方がホッとしてしまったというのは言うまでもないだろう。 「そういう事な……」  そう独り言のように漏らす俺。  何だか雄介の今の言葉に安心出来たような気がする。  元から優しい性格の雄介なのだけど、医学部に通うようになってからは益々優しくなったような気がするのは気のせいであろうか。

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