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ー未知ー75
やっと雄介にも分かってくれたように思える。
「それに、さっき言ったじゃねぇか……。 こういう行為っていうのは、二人で楽しむから気持ちいいんじゃねぇのか? ってな」
「ん……ま、確かに、そうやねんけどなぁ……」
「そう、俺から視線を離すっていうことは、まだ、不満があるのか?」
「あ、いや……別に……不満っていうのは無いんやけどなぁ……?」
視線を逸らしている所からすると、確実に何か言いたいことがあるのであろうが、そこは雄介が言わないのだったら、突っ込まずにいよう。 と思うと、俺の方は雄介の首に腕を回して、
「ゆ、雄介……」
「ん? 望……へ? 何?!」
と雄介が俺の方に顔を向けた途端に、俺の方は雄介の唇に唇を重ねるのだ。
「な、このままの状態で、雄介のを俺の中に挿れられるんだよな?」
俺の方は色っぽい瞳で雄介のことを見つめる。
「……へ? あ、まぁ……確かに、そうやねんけどなぁ……?」
今俺の方へと視線を向けていた雄介だったのだけど、そんな事を言った俺から直ぐに視線を離してしまう雄介。
俺の方はそこに少し寂しさを覚えながらも、
「んじゃあ……雄介のを挿れていい?」
「え? あー……まぁ……ええんと違う?」
未だに俺から視線を離している雄介。
何がまだ不満なんだろうか。 そして俺に視線を合わせられない理由でもあるんだろうか。
だけど俺の方は雄介には聞きたくはない。 そう俺達っていうのは、これから結婚する相手なんだからこそ、そういう事は自分の口から言って欲しいというのもあるからだ。
「じゃあ、挿れてもいいんだな?」
「あ、まぁ……」
「って、まだ、お前何か言いたそうなんだけど?」
「あー、なんて言うんかな? 望がこういう行為に関して頑張ってくれているのは、ホンマに嬉しいねんけど……望は、あまり俺側の気持ちになった事がないから、きっと分かっておらんのかもしれへんけどな……」
そこまで雄介は言うと、俺の体を一旦ベッドへと下ろすのだ。
「もっと、ちゃんと、望のココ慣らしてからじゃないと、望が痛い思いをするから、俺的には、まだ、俺のを挿れるのは遠慮して欲しいねんぇどな……」
そう言いながら雄介は俺の体をベッドへと押し倒し、多分指の第一関節部分だけを俺の中へと挿れて来る。
「ふっ! んん! 痛っ!」
無意識に俺の腰がその痛みで逃げてしまったように思えるのだ。
「せやろ?」
と得意気そうな表情で言ってくる雄介。 だけどその中にはまた切ないような表情も含まれていそうな顔つきでもある。
「まだ、望ん中に指の第一関節位しか入っておらんのに、中に痛みを感じるんやったら、まだ、中が完全に慣れてないっていう証拠やろ? だったら、ここからはもう俺にやらせてくれへんか?」
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