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ー未知ー87
今日は寧ろ逆にそんな雄介にドキドキとしてしまっているのは気のせいであろうか。
そしてさっきまではそこで俺の方は半四つん這い状態で雄介の方は立ってたのだけど、今の俺というのはその場で仰向けの状態になっている。 雄介の方もそのまま床に立ったままの状態で俺の足を開かし、俺の事を見つめて来る。
「……ん?」
そこで時を止めたように動きをストップさせてしまっている雄介を見つめる俺。
「ホンマにええんやんな?」
本当にそう優しく俺に確認してくる雄介。
「え? あ、ああ……」
「なんかなぁ……今の望って、ちょっと、不安そうな顔してんやもんなぁ……」
「え?」
その雄介の言葉に俺の方は一瞬考えてしまう。 確かに、今日はちょっと変わった感じだからなのか、俺の方は気持ち的に不安なのかもしれない。
「いや……別に……」
そこで視線を雄介から外してしまった俺だったのだが、直ぐに雄介の方へと視線を向け、
「そりゃ……少しは不安だよ……。 だけど、そういう意味ではなくてだな……こう、いつも以上にお前が優しくていつもと違った感じで抱いてくれて、何だかよくは分からないのだけど、俺からしてみたら、そんな雄介が不安っていうのかな?」
俺は雄介にそう指摘されたのだから、婚約はしたようなもんなのだから、今の俺の事を包み隠さず話始める。
「確かに、雄介とは婚約はしたのだけど……これからの事について、今はこれからがスタートなんだからさ。 これから、何が起こるのか? っていうのは誰にも分からない。 だから、不安に感じてる……それじゃあ、悪いのか?」
そう言いながら俺はその場で半身を起こすと雄介の肩に両腕を回すのだ。
「……ま、確かに、それは、そうやんな……。 せやから、それが、今表情に表れてしまったっていう事なんか……?」
「ま、そいだろうなぁ……。 それに、今日の雄介がいつもとは違うやり方でして来てたから余計になのかな?」
「寧ろ、いつもと違う風にして……って言うたのは、望じゃなかったっけ?」
「あ、そうだったっけかなぁ?」
その指摘に俺の方はクスリとすると雄介の瞳を見つめる。 すると雄介の方も俺の視線に自然と合わせて来るのだ。 そして二人してクスリとし、今この瞬間の幸せを噛み締めたのかもしれない。
だって人間っていうのは、生きて行く上である意味いつ死んでもおかしくはないのだから。
健康で生きている人だって、もしかしたら、もう次の日には事故事件に巻き込まれて人生が終わってしまう可能性だってあるのだから。 それとは逆に、病気で直ぐにも人生が終わってしまうと言われていた人間が急にその病気が治って生き延びる可能性だってあるのだから、人生っていうのは明日、未来の事なんか分からないもんだ。 だから不安になってしまう時もあるのであろう。
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