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ー未知ー104

「なんやろ? 確かに、望は、素直じゃないところがあるのかもしれへんけどな……そんな、望が心配っていうんかな? 守りたくなってしまうっていうんかな? せやから、俺はそんな望のことが好きになったっていうんかな? ま、俺の方は寧ろそんな望が好きなんやって……」 「何だか、褒められているのか褒められていないのか? っていうのは分からないけど、雄介が俺のことを好きで居てくれてるんなら、俺の方は、それで満足かな?」  そう言って横で座っている雄介の首へと腕を回す。 そして真剣な瞳で雄介のことを見つめると、 「俺の方も本気でお前のことが好きだ。 それじゃあ、ダメなのか?」 「あー!」  と急に雄介が気持ち的に叫んだ後、俺の方へと視線を向けて来て、 「あー、スマン! ホンマ、スマンかったっ! 何、俺贅沢なことを言っておるんやろ? そやな。 そりゃ、望が俺のことを好きって思ってくれているだけでも、満足なのにな……何心配しておったんやろ?」 「それに、今日は……ま、もう、昨日の話だけど、俺達は婚約もしたんだろ? これ以上、何が不安だっつーんだよ。 それとも、しっかりと指に婚約指輪をしてからじゃないと、まだイマイチ不安なのか? 物が無くたって、俺達っていうのは、心で既に繋がってるんじゃねぇのか?」  俺のその言葉に雄介が目を丸くしたのは言うまでもない。  しかも俺の口からそんな言葉が出て来るとも思ってもみなかったのだから。 「しかも、いつもだったら、俺の方がそんなような弱気な発言するんだろうけど、今はお前の方は少し弱気になってねぇか?」 「スマン……確かにそうなのかもしれへんなぁ……弱気っていうんか……確かに、今の俺は不安なのかもすれへん……だって、これから、姉貴に話さなきゃならんし、姉貴って、俺からしてみたら怖いしな……」  しかし、ここまで弱気になってしまっている雄介も本当に珍しい。  本当に雄介からしてみたら、そこが一番不安に思っているところなのであろう。  島にいる時は和也達も居たし、美里さんに電話をしても、まだ電話だったし、和也も居たしでフォローしてもらえたけど、今回は違う。 和也達は寧ろいないし、美里さんと向き合って話さなければならないのだから、いつも以上に気を張らないとならないのだから、今の雄介っていうのは不安でいっぱいなのであろう。  そこに気付いた俺は息を吐く。 一旦、自分のことを落ち着かせると、 「今は俺がお前の側に居るだろ? それだけじゃ、お前は不満なのか?」  気持ち的に鬱気味の雄介に、今は俺の方がフォローを入れるのだ。

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