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ー未知ー106

 今の俺は逆に、昔の雄介なのかもしれない。  雄介は俺のことを色々な意味で待ってくれていた。  「好き」という言葉だって、そう簡単に言えてなかった俺。 だけど雄介は本当に俺からのその言葉を待っていてくれていたと思う。  だから今は俺の方が一生懸命、雄介にその言葉を返しているんだと思う。  そう、人間って、いい事をしてもらったら、お礼をしないと不公平だろう。 だから今の俺というのは昔、沢山俺は雄介から愛情も素敵な言葉も貰って来たのだから、本当に今それを返す時なのかもしれない。  これからも確かに雄介からは沢山の愛情や言葉を貰う事にもなるのだけど、今まで以上に俺も雄介にそんな言葉や愛情を返す事が出来たらいいんだと思う。  更に俺の腰辺りを抱き締めて来てくれる雄介。 「ホンマにありがとうな……これから、俺の方もずっとずっと望の側に居りたい……ホンマに俺は望の事が好きになったしなぁ」 「そだな……」  そう、俺の方は雄介の頭を優しく撫でるのだ。 何だか本当に雄介の事が愛おしくなったからなのかもしれない。  確かに、俺の場合には女性経験とか付き合って来た恋人経験とかっていうのは本当に無いに等しい人間だったけど、本当の恋人っていうのは、こういう関係なんだと思う。  お互いの事を知って、お互いに認め合って、お互いに愛情たっぷりで、要はお互い様という関係がいい関係なんだろう。  それに急に何だか雄介の体から力が抜けたようにも思える。  俺が今日はフォローしたおかげできっと雄介の肩の荷みたいなのが降りたのであろう。  そこで雄介はひと息吐くと、急に元の雄介に戻ったのか、 「もう、そろそろ、体回復して来たんやろ? それだったら、風呂の方に行かへんか? 中に出したものを綺麗にして来ないと、ソコ気持ち悪いだろうし、腹下すらしいしな」  そんな下から目線で俺に言って来る雄介。  雄介の言葉に俺が顔を真っ赤にしたのは言うまでもないだろう。  こう真面目な話から一変して急にそういう話に持っていく切り替えの速さに、たまにビックリする時がある。  確かに、ベッドの上に膝立ち状態なのだから、こう余計に中から液体みたいなのが出て来ているような気がするのは気のせいなのであろうか。 いや気のせいではないのかもしれない。 ツーと伝ってそれが今は太腿の辺りにあるような気がするのだから。 「ほな、どないする?」っていう表情で雄介は俺の事を見上げて来る。  確かに気持ち悪い所ではあるのだけど、俺からそれを言える筈もない。  だから俺の方は視線で雄介に訴えるのだ。  「ココが気持ち悪い」と……。

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