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ー未知ー108

「来てくれないかも……って思うとったから、良かったわぁ……」  相変わらずの笑顔を向けて来る雄介。 そこには全くもって下心みたいなのはなようにも思える。  本当に雄介っていうのは、そういうところ凄いんだと思う。 だって普通の男だったら、恋人と一緒にお風呂に入るってなると普通は下心ありありで入るんだろうが、本当に雄介に限っては全くもってそれがない感じなのだから。 「ほな、自分で体洗う?」  何でか今日の雄介っていうのはそういう風に聞いて来るのだ。  そこに拍子抜けな表情をしてしまう俺。  俺の方はある意味、雄介に洗ってもらう気満々で来たのだから、当然の反応なのであろう。 「え? あ、ああ……体な、自分で洗うかなぁ?」  そう逆にハテナマーク状態で言ってしまっていた俺。  流石の雄介もそこに気付かない訳がないだろう。  その間二人の間に沈黙の時間が出来てしまうのだ。  今の会話の中で二人の間に沈黙が流れてしまうのは当然だろう。 そう俺がさっきの会話の中で、何でか疑問系にしてしまっていたのだから、当然雄介からしてみたら考えてしまうような感じなのだから。 「……どういう意味なん?」  流石の雄介も疑問に思ってしまったのか、俺にそう問うて来た。 「え? あ、あー、別に……何でもねぇよ……。 とりあえず、自分で体洗うから気にするんじゃねぇよ……」  と相変わらずな俺の態度。  やっぱりたまにツンデレな態度が出てしまう。 そこはやっぱり俺なんだな。 と思う時がある。  そう言うと、雄介の方は「あっそうか……」と言って、浴槽の方へと浸かるのだ。  さっき俺が入って来た時には半分位までしか溜まってなかったお湯だったのだけど、今では丁度いいくらいまでお湯が溜められていた。  俺が体を洗っている間、雄介は俺の姿が見えないようになのかシャワーからして反対側に視線を向けてくれているようにも思える。  本当に雄介っていう人間は嫌な事は本当にしない。 しかも雄介の場合、お風呂が好きだからなのか、本当に気持ち良さそうに浴槽に浸かっているのだから。 こう本当に俺の事を全く気にせずゆっくりまったりと浸かっているようにも思える。  俺の方はとりあえず簡単に洗い済ませると、 「俺の方も浴槽に浸かっていいか?」  と雄介に聞くのだ。 「へ? ああ……全然、俺の方は構わへんねんけど……」  そう言うと俺が入れるようなスペースを作ってくれる雄介。  とりあえず俺は雄介の正面へと腰を下ろす。  俺の方はメガネがないのだから、雄介の表情とか顔というのは確認出来ないのだけど、こう本当に雄介という人間は俺がいるだけで幸せという表情をしているように思えるのは気のせいであろうか。

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