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ー未知ー110
「え? あー……そうだな……ってか、怒らないに決まってんだろ?」
今もまだ不安そうな表情をしている雄介に、安心してもらうかのように、俺の方は笑顔を向けるのだ。
今まで雄介が俺に色々としてきてくれたのだから、今度は俺がそれを返す番だろう。 だから俺の方は雄介には笑顔を向けられるのかもしれない。
だけど、まだまだ不安そうな雄介。
それなら、今真剣に話をすることができるなら、今の俺の思いを雄介に話した方がいいのかもしれない。
「雄介……今までのお前って、俺に色々と尽くしてくれてきただろ? だからさ、これからは俺達っていうのは夫夫なるんだし、俺だって、雄介のことを信じて行かないとならないし、それなりに俺だってお前に尽くして行こうと思ってるからさ……」
そう真剣な瞳で俺が今雄介に思っていることを話すのだ。
するとその真剣さが雄介にも伝わってくれたのであろうか、雄介の方も真剣な瞳で、
「分かった……。 望って、根は真面目やからなぁ……逆に普段が普段やから、こういう真剣な話の時に余計に本気っていうのが伝わって来る感じがあるしな」
その雄介の言葉に急に肩の荷が降りた感じがしたのは気のせいであろうか。
そう思わず俺の方は胸を撫で下ろしてしまったのだから。
でも、俺だって雄介に対しては本気だ。
雄介と今まで数年付き合って来た。 だからもう十分過ぎるほど雄介のことは知っている。
今やっと俺の方は人を信じることができて、雄介といて幸せという感じが出来て、これ以上は何もいらない位幸せなのだから。
やっと俺の思いを雄介に伝えることができたのかもしれない。
それに尽くし尽くされるのが人生のパートナーでもあると思う。
そう今までは雄介だけが俺に尽くして来たのだから、今度は本気で俺の方が雄介に尽くす番なのであろう。
「ほな、これからも宜しくな……」
そう雄介の方は笑顔で俺に向けて来る。 そして俺の方もそれに応えるかのように、
「宜しくな……」
と返すのだった。
それからの俺達というのは、お風呂から上がって、ベッドでゴロゴロとし始める。
もう、後はバスローブを着て寝るだけなのだから。
既に時刻の方は、三時半を過ぎていて、既に疲れていた体は直ぐに夢の中へと落ちて行く。
たった数時間だけの睡眠となってしまうのだけど、こういう睡眠時間は俺達からしてみたら慣れている。 だからある意味問題ないという事だ。
ただ次の朝は早く起きて、すぐにホテルを後にしたのは言うまでもないだろう。
未だにのんびりとした時間を過ごしている俺達。
だけどこれは嵐の前の静けさでしかないのだから、この時間を大事にしないとならないだろう。
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