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ー未知ー126

 すると、テーブルの上には雄介が作った料理が並べられていた。  本当に雄介が作る料理っていうのは、レストランで食べるような盛り付け方で、そこもきっと雄介の性格が出ているのであろう。  真面目で几帳面。  その性格が料理の盛り付け方に反映されている。  しかも卵焼きも焦げずに綺麗でしっかり混ざっているからなのか、それとも光の加減でそういう風に見えているのか、輝いて見えるのは気のせいなのであろうか。 「ホント、お前が作ってくれている料理って凄いのな!」  と俺の方は少し興奮気味に言ってみる。 いや、寧ろ俺の性格上他人を褒めるっていうことはあまりしたことはないのだけど。 「あ、まぁ……んー……」  そう、相変わらず俺が褒めると言葉を詰まらせてしまう雄介。 「あ、でもな……望に褒めてもらえたんなら作ったかいがあったっていうんかな?」  その答えに俺はクスリとなる。  きっと今の俺の言葉に関して一瞬で雄介が一生懸命考えたんだと思うと、本当にそれさえも今は愛おしく思えるからだ。  それを俺の方は笑顔を向ける。  何だか今が一番幸せに思えるのは気のせいであろうか。  雄介が医者になったというもの、雄介が言っていた通りになったように思える。  雄介も俺もただ単純に一緒に居たいという思いだけで、雄介は医者になった。 いや、俺の場合にはちゃんと雄介には難しいとか言ったり、ただただ自分の欲望のままに不純な動機だけでは医者は務まらないとか言って、何度も何度もそこは喧嘩や話し合いを繰り返してきたのだから。  だからなのか食事を始めた直後に、 「ホント、本気で雄介が医者になってくれて今は良かったと思ってるよ」  流石にそんな言葉をまともに雄介の顔を見て言えなかった俺は食べ物を口に運ぶ前のように顔を俯けて言うのだ。 「え? あ、ああ……おう……」  本当に雄介っていう人間は、褒められるのが苦手のようだ。 言葉の感じからして動揺しているのが分かる。 「俺はお前が医者になることを反対したのに、お前は医者になって、それから一生懸命働いて、本当に医者になったんだと、アピールしてくれたしな」 「あ、ああ……おう……」  さっきから同じような返事にちょっと俺の方が笑いそうになってくるのだけど、今は自分からしたらある意味真面目な話をしているのだから、そこは我慢したいところだ。 「それに今は俺からしてみたら仕事でも、いいパートナーだし、そりゃ、勿論、プライベートでもいいパートナーだしな」 「あ、ああ……おう……」  本当に雄介っていう人間は褒められることに慣れていないのであろう。 だからなのかさっきから同じ反応しか出来てないようにも思えるのだから。

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