雄介は確かに医者になってくれて今は安心した部分はあるのだけど、俺たちにとっての人生の中でまだまだ問題というのは山積みの状態でもある。 　次なる問題というのは、結婚や子供についてだ。 　だから今は美里に代理出産について頼んでみようとしているのだけど、それはそれでこれまた問題なところだ。 「とりあえずさ、今はいいんだけど……本当に明日、雄介は美里さんにちゃんと言えるのか？　ってか、説得する為の何か秘策とかでもあるのか？」 　そこは真剣な話だからなのか、俺の方もさっきとは違い、雄介の目を見て話を始めるのだ。 「あー、そやなぁ……流石に秘策みたいなのは全然まだまだ考えておらんのやけど……」 　とその俺の言葉に雄介は食事をしていた手を止めて、腕を組んでまで考え始める。 　でもまさか全く何も考えてなかったとは思ってなかったことだ。 　ここまで来ておいて、何も考えてないとは、ある意味雄介らしいのかもしれないのだけど、何か美里を説得できるようなことを今のうちに考えておかないとせっかく話をしに美里を呼んでいるのに説得できずに終わってしまわないだろうか。 　そこに変にため息が出てしまう俺。 　てっきり雄介が美里を説得するような秘策を考えているからこそ、大丈夫だと思っていたのに、このままでは美里を説得できずに終わってしまう可能性が高いのかもしれない。 　それに美里に代理出産について頼もうと言ったのは雄介の方なのだから、本当にそこについては真剣に考えて欲しいところだ。 　さっきまで幸せな気分だったのに、俺の中では一気に沈まされた気分へとなる。 「とりあえず、明日までに、美里さんの事を説得しないといけない秘策でも考えないとなんじゃねぇのか？」 「あ、おう……まぁ、そうなんやけどな。　でもな、なんていうんか……こう今考えておいたって仕方ないやんか……未来は未来でどう変わるんか？　っていうのが分からへんのやからなぁ。　だから、俺は今考える必要なんてないっていうんかな？」 　その雄介の言葉に俺の方は目を丸くする。 　確かに雄介はそういうタイプなのかもしれない。　いや昔からそうだ。　未来のことではなく今を生きるというのがあるからこそ、未来のことは後でいいと思うのであろう。 　じゃあ、今だったら、この二人でいる時間を幸せに過ごしていた方がいいということなのであろうか。 　俺が雄介の方へと視線を向けると、いつもと変わらないような雄介が視線の中へと入って来る。 　こう何も考えてないような幸せのような寧ろ微笑んでいるように思えるのは気のせいであろうか。