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ー未知ー128

 でも、何だか、そんな雄介に俺の方まで安心してきてしまっているのは気のせいであろうか。  なんか前にもまして雄介が堂々としているように見えるからなのかもしれない。  雄介の場合、普段が普段だから、おふざけキャラに見えるのだけど、いざという時には頼りになるということだ。  そこは今まで全くもって気付かなかったところなのだけど、よくよく考えてみると、本当にいざという時には本当に雄介の場合、色々と動いていたのかもしれない。  普段はわざとふざけて本当にいざという時に動く人間の方が、いつもよりカッコ良く見えるのは、きっとよく言われている『能ある鷹は爪を隠す』なのであろう。  寧ろ雄介の場合には完全にその言葉が似合う。  それに加えて謙虚なところもいいところでもある。 「ホント、マジで、お前って俺には勿体無い奴だよなぁ……」 「ん? そうなんかぁ? でもな、先に望の事を好きになったのは俺の方なんやで……」 「確かに、そうだけどよ……でもさ、世の女性が、雄介と付き合ったら、本当、離してくれないだろうな」 「ん? それは、いい風に取ってもええのか?」 「……?」  その雄介の言葉に俺の方は目をパチクリとさせながら雄介のことを見つめる。  しかし今の言葉、どういう意味があるのであろうか。  でもまさか俺が言った言葉から、そういう風に取れるとは思ってなかったからだ。 「え? それ言っても構わんか?」  そう言われて、俺の方が何でかドキとしてしまっていた。 「え? はぁ!? え? 何で!?」 「その様子じゃ、今自分が言っていた言葉の意味、分かっておらんってことなんやろ?」 「へ? なんか、俺、変なこと言ってたのか?」 「んー? まぁ……人によってはそういう意味にも取れるって言ったらええんかな?」  雄介はこう天井の方へと視線を向けて言ってるところからすると俺からしてみたら言って大丈夫な言葉なんだろう。 そう思っているのかもしれない。  だから今俺が言った意味を自分で考えてみる。  すると確かに雄介の言う通り、雄介がなかなかその答えを言ってくれなかった理由が分かって来たように思えるのだ。  急に俺の方は顔を真っ赤にしたのだから。 「あ……」  ある意味、自分で考えてみて良かったということだ。 それをもし雄介に言われていたらもっと恥ずかしい想いをしていたのだから。  それに雄介は気付いてくれたのか、 「まぁ、そういうことやしなぁ……でも、望……ホンマ、今では俺の恋人になってくれて、ありがとうなぁ」  と言いながら食器を片付けに向かう雄介。 そこは雄介でも少しは雄介も照れ臭かったのかもしれない。

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