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ー未知ー131

 俺の方は先に服を脱いで、先ずは体を洗ってから浴槽へと浸かる。  昔の俺だったら、浸かるにはあまり好きじゃなかったのだけど、そこは雄介がお風呂へと浸かるのが好きだったのだから、俺も雄介とお風呂に入る時には、浸かることが多くなり、それに慣れたということだ。  俺が浴槽に浸かっていると雄介の方も体を洗い始める。  そうすることで、俺は完全な下からの角度で雄介の体や顔を見上げる感じになっていた。  いやそれをずっと見ていた訳ではない。 ただ一瞬雄介の方へと視線を向けた時に視界に入ってしまったというだけだ。  益々何でか雄介には色気というのが感じられてしまっているのは気のせいであろうか。  俺達っていうのは、もういい大人な筈なのに……。  俺達が出会ったのは、若い頃。  雄介が仕事で怪我をして入院してきたのがキッカケだ。  始めは俺の事を女医と間違えて嫌な奴だって思っていたけど、次の日だったかその翌日だったのかっていうのは忘れたのだけど、回診に雄介の病室へと俺が訪れた時に、ベッドの柵を使って歩いていた姿を見て、俺が止めた後、雄介が言っていた言葉から、俺が見ていた雄介というのはみる目が変わったというところであろうか。  確かに俺と雄介っていうのは、職種は違うものの、人を助けるという仕事では一緒で、雄介はそれを本当に誇りに思っていたのだから。 そしてそう熱く語る雄介に共感を得ることが出来たからなのかもしれない。  そんなことを考えていると雄介が浴槽へと入って来る。 そしていつもの笑顔で、 「どうないしたん?」  と俺の顔を少し心配そうに見つめて言って来るのだ。 「あ、えー……あー、……」  そういつものように俺の方は雄介に見つめられてしまうと瞬間的に視線を逸らしてしまうのは仕方がないことだろう。 だけどもう雄介とは夫夫(ふうふ)になるのだから、気にせずに雄介の方へと視線を向けると、 「あー、あのさ……」  そう思い切って、ちゃんと俺から面と向かって言ってみることにした。  そうだ。 俺達っていうのは夫夫(ふうふ)になるのだから隠し事はしてはいけないと思ったからなのかもしれない。 「今、丁度、昔の事を思い出してたんだよ……」 「昔の事!?」  何でか驚いたような表情で俺の事を見つめて来る雄介。  雄介の方は両腕を後頭部に視線は天井へと向け、俺の言葉をきちんと考えてくれているのであろう。  そこは別に考えるところじゃない。 と思いながらも俺の方は言葉を繋げていく。 「だからさ……俺達が出会った頃を思い出してたんだよ」

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