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ー未知ー164

 本当、今日の雄介には調子狂う。 いつもと違うのは気のせいであろうか。 「ま、今日は既にヤってたんやから、望のココは十分に広がっておるやろうしなぁ」 「え? あ、ああ……まぁ……お前がそうだって言うんだったらそうなんじゃねぇのか?」  俺の方はそう答えるのだが、完全に雄介から視線を逸らして言っているのは言うまでもないだろう。 寧ろ腕で目を隠してまで言っていたのだから。 「んー、たまには違う体位でやってみたいと思うねんけど……望とだとなぁ……やっぱ、バックとかは嫌やねんなぁ。 だって、顔見れへんやんかぁ……。 だけど、たまにはなぁ……?」 「じゃあ、逆にどんな風にしてみたいんだよ」  と俺の方は思わず聞いてしまっていた。 「あー、やっぱ、バックかなぁ? 望の顔見れへんようになってまうけど」 「じゃあ、それで、いいんじゃねぇのか?」 「ほな、そうさせてもらうな……」  そう言うと雄介は俺の体を四つん這いへとさせ、一回俺の中に指を入れて何かを確かめるかのように気持ちいいポイントを掠めると満足したかのように指を抜くのだった。 「やっぱ、望の中、十分に柔らかくなっておるし、準備オッケーみたいやから、ほな、挿れてくな……」  そう言うと雄介はゆっくりと自分のモノを俺の中へと挿れていく。  相変わらず、最初挿れる時、俺は、「……うっ!」と体に力が入ってしまうのだが、それを過ぎると体からは力が抜ける。  俺は息を思いっきり吸い込んで吐き出すと、雄介の方もそれが合図かのように、ゆっくりと出し入れを繰り返しながら自分のモノを奥へと進めてくる。 「ぁ……ぁあ……はぁ……はぁ……んっ!」  雄介に揺さぶられる度に、俺の口からはリズム良く柔らかい甘い声が漏れる。  確かに、後ろからの方がいつもより楽なのかもしれない。  俺はしっかりとシーツを掴む。 こう何かに掴まってないと、落ち着かないからなのかもしれない。 いや快感でどうにかなってしまいそうになっているのを抑える為に、何かを掴もうとしているのであろう。 「ぁあん! はぁん!」  俺が甘い声を上げると、雄介の方も、 「ぁ……やっぱ、ホンマに望ん中……はぁ……はぁ……最高やわぁ……ん……ヤバっ! も、今日はイきそっ!」  一瞬「今日は、いやに早くないか?」と思うのだが、何となくだけど、雄介の気持ちが分かって来たような気がするのだから、そこは今日のところは仕方がないのかもしれない。  しかし今日の雄介はやはり何処かおかしいような気がする。 まぁ、明日は美里と話をする日だからなのかもしれないのだけど、それでもいつもと違うような気がするのは気のせいであろうか。  ゆっくりと動いていた腰が、段々とスピードが増して来る。  それと同時に皮膚と皮膚が打つかる音も激しさが増してきていた。 そこは当然なのかもしれないけど、いつも以上に響いて聞こえるのは気のせいであろうか。

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