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ー未知ー188
一瞬、俺の言葉に目を丸くしたのは雄介と美里だ。
きっと雄介の場合は、まさか俺がそこまでフォローしてくれるとは思っていなかったからだろう。そして美里は、俺の言葉について考えるために目を見開いたのかもしれない。
しばらくその場は俺の言葉で静かになっていたが、先に口を開いたのは美里だった。
「それって、どういうこと?」
そう俺に向かって尋ねてくる美里。その反応は俺にとって予想の範疇だったのかもしれない。
「小児科医というのは、医者の中でも最も過酷な現場なんですよ。小児科医は、お母さんのお腹の中から生まれた瞬間から診てくるのです。まだ症状を話せない赤ちゃんたちを診るのが小児科医の仕事なんです。当然、子供でも病気や怪我で亡くなることがあります。そんな中で雄介はその仕事を誇りに思ってやっているのです」
そう言って、俺は身振り手振りを交えながら、真剣に小児科医について語り始めた。
俺が言っているのは本当のことだ。
それを雄介は見てきているのだから、俺からしても尊敬したいと思っている。
これがちゃんと美里に伝わっているのかどうかは疑問だけど、俺は本当に真剣に人に伝わるように言ったつもりだ。
「……そうなの。まあ、吉良先生が言うのなら、小児科医というのは大変なところなんでしょうね」
「実際にはドラマ以上に、大変な現場だと思います。そんな現場で雄介は子供たちと向き合って仕事をしているのですから……僕は、そんな雄介を誇りに思えるほどです」
今の言葉は俺にとって本当にハラハラとして、噛みそうになったけれど、ちゃんと噛まずに言えたことに安心したのは言うまでもないだろう。
そうだ。俺だって、素直になると雄介の前で約束したのだから、今それを発揮しなければどうするのだろう。
一瞬、隣にいた雄介の視線が気になったが、それでも俺は本当に真剣に美里に伝えたかったから、そう言ったまでだ。
その後、時が止まったかのように、再び秒針の音が聞こえるような静かな空間となってしまう。
しばらくして、
「吉良先生のおかげで、今、雄ちゃんがしている仕事について分かったような気もするし、雄ちゃんが小児科医になってどれだけ成長してきたのかも分かったわぁ……。じゃあ、もし生まれてくる子供が健康じゃなかった場合、どちらかが仕事を辞めて専業主夫とか、付きっきりでその子の面倒を見るのかしら?」
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