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ー未知ー193
「本当に、美里さん、俺たちのわがままに付き合ってくださって、ありがとうございます」
俺は興奮状態だった雄介から離れ、美里に向かい改めてそう告げ、もう一度頭を下げた。
「本当に、雄介のおかげで僕はかなり素直な性格になってきたと思います。もし、雄介がいなければ、僕もここまで本気にはならなかったと思いますよ。雄介だからこそ、本気で好きになり、本気で恋愛ができて、本気で任せられる存在だと思いますしね」
そこまで言うと、俺は雄介を見上げて微笑んだ。
すると雄介も、俺に答えるかのように微笑み、
「ホンマ、俺のほうも、望と出会えて、幸せやって思うとるしなぁ……。俺のほうも本気になれたのは望だけやし……」
きっと本気の話し合いは終わったからだろう。雄介はもういつものように関西弁で話し始めたのだから。
そして、美里の前にもかかわらず、俺の額にキスをしそうな勢いの雄介を止めて、
「本当に、今日はありがとうございました!」
そう言って俺は美里に向かい頭を下げた。
俺はいつだって本気で気持ちを伝えてきているが、今日の場合はいつも以上に本気で頭を下げた。
「吉良先生……本当に、そこまで何回も頭を下げていただかなくても大丈夫ですよ。確かに今日は代理出産について話をしに来たのもありますけど、お二人の仲も見てみたかったっていうのもあったんですからね」
その美里の言葉に、俺と雄介は顔を合わせ、目をパチクリとさせた。
きっと二人とも、美里が言っている意味が分かっていないのか、それとも美里の言葉が意外だったからかもしれない。『それって、どういうこと!?』という表情もうかがえる。俺もそう思っているからこそ、雄介の表情も分かったのだろう。
「だって、今まで、雄ちゃんと吉良先生と会うときって、いつも病院とかだったから、こうプライベートな二人っていうのは、今まで見たことがなかったのよねぇ。それに、琉斗が運動会の時だって、完全なプライベートっていう感じじゃなかったじゃない?周りにはたくさんの人たちもいたしね。そんな仲で、雄ちゃんと吉良先生がイチャイチャするわけにはいかないですしね……。だから、少しはそういう二人の仲を見てみたかったっていうのもあるのよね」
「あ……」
その美里の言葉に、二人同時に言葉を発したのは言うまでもない。
「今日の話し合いで、本当に、お二人の仲が本気だっていうのが分かりました。むしろ、私のほうがこういう話し合いの場を設けてくださってありがとうございますってお礼を言いたいくらいですもの……」
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