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ー未知ー194
そこに再び、俺と雄介は目を丸くする。
でも、確かに美里の言う通り、俺たちは美里の前でイチャイチャすることはなかったのかもしれない。
いや、今日だって全くそんな雰囲気は出していなかったと思うのだけど。
それでも、美里の場合、俺たちの仲が分かっているようだから、いいとしよう。
「とりあえず、姉貴もお茶菓子食べて……」
と、先ほどとは打って変わって、いつもの兄弟のように雄介は美里に話しかけ始めた。
さっきの緊張感のある空気とは違い、今はもう和やかなムードになったからだろう。
「どうぞ、どうぞ……昨日、雄介と一緒にデパートに行って選んできたんでね」
「あら、ありがとうございます。本当に、お二人とも仲がいいのねぇ……」
その美里の言葉に、再び俺と雄介は顔を合わせる。そして微笑む。
前にも増して、俺たちは仲が良くなったと思える。
そう、今までたくさんの困難や試練を一緒に越えてきたからこそ、今は笑顔でいられるのかもしれない。
「ホンマ、望とは色々とあったよなぁ?」
「え? あ、ま、まぁな……」
そう振ってくる雄介だったが、その話に美里が入ってくる。
「ところで、あなたたちはどこで知り合ったの?」
と、興味津々の様子で前のめりになって聞いてくる美里。
その質問に目を丸くして顔を真っ赤にさせたのは俺の方だ。
きっとそのことを思い出してしまったからだろう。しかも、冷めかけていたお茶を思わず吹き出しそうになったのだから。
本当に美里は、やはり雄介の噂通りの人なのかもしれない。もしかしたら、俺が本気で知り合いになったら、苦手とする人物かもしれない。
いや、もう少ししたら、俺にとっても義理の兄弟になるのだから、もう知り合い程度では済まされない仲になるだろう。そう考えると、やはり雄介の言う通り怖い存在になるのかもしれない。
「姉貴……あんま、望のことをいじるなや……。望ってな、こういう話苦手なんやからなぁ」
「あら、そうなの? 吉良先生って、そういう可愛いところあるのねぇ……」
そう、むしろ楽しそうに言っている美里。
本当にこのままでは先が思いやられる。
「それに、俺と望が結婚したら、望と姉貴は義理の兄弟になるんやから、もう、望のことは『先生』じゃなくてもええねんやろー?」
「あー、それはそうね……じゃ、何がいいかしらねぇ? 雄ちゃんは雄ちゃんだしー。そうね、一番無難そうなのは、『望さん』かな? それとも『のんちゃん』? 流石に『のーちゃん』はおかしいと思うしね」
そこは「どれでもいいですよ」と俺は思いながら、雄介のことを見上げる俺。
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