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ー未知ー202
とりあえず今は雄介に頭痛薬を渡して、頭の痛みを和らげるしかない。
割と医者もこういう時の診断っていうのは難しいと思えてしまう。そう、検査しないと分からないからであろう。
雄介に薬を飲ませてから、再び俺は美里の相手をするしかないだろう。
だからなのか、美里の方へと視線を向けると、
「とりあえず、雄介には薬を飲ませたんで、大丈夫だと思いますよ……。雄介はですね、前に船が島で転覆した時に救助に向かって、それから何時間も海に漂っていた時に、意識不明になってた時間が長かったためか、それとも意識がない時に岩場か何か固い物に頭を打ちつけてしまったか何かで、最近、頭痛がちなんですよね。和也たちのおかげで、その時は一週間程、春坂に来て検査をしたのですが、その時には、まだ何も頭に影響は出てなかったのですが、これだけ頻繁に頭痛があると、もしかしたら、何かしら頭に影響が出てきているのかもしれませんね。僕の方も、この頻発している頭の痛みが気になり始めてますから……」
「え? そうだったの? 確かに、父にその時の事を聞いた覚えはあったけど……父の方は、もう全然ピンピンしてるからね」
「そうなんですか……でしたら、もしかしたら、雄介の場合には、頭をどこかに打ちつけていたのかもしれませんね」
「ま、でも……私たち一般人と違って、望さんがいるから、雄介のこと安心して預けることが出来ますね……もし何か雄介にあった時には、宜しくお願いします」
さっきまでは俺たちの方が頭を下げてばかりだったのだけど、今度は美里の方が頭を下げる番になったようだ。
「いえいえ……僕たちの方だって、万能ではないのでね。今だって、本当はどうしたらいいのか? っていうのが分かってませんから……様子見しか出来ないのが本音です」
「そうだったんですか……」
そう、美里の方も、雄介を心配そうに見つめていた。
本当に、今の俺には医者として何も出来ない。薬で痛みを止める事しか出来ないのだから。
もしこのまま雄介に何かあったら、どうしたらいいのか? っていうのも分からない。
心の中はパニック状態の俺。
だけどまだ救急車を呼ぶようなレベルではないだろう。それに前に一回検査した時にだって、まだ異常は見られなかったはずだ。
それに暫くすれば頭の痛みは取れるのであろうから、俺はそれを待つしか今は出来ない。
本当に海の中で雄介に何があったのであろうか。そん時の話はあまり聞いていないように思える。
後で、詳しく聞いてみようと俺は思ったのだ。
確かに病院に行った時には大したことはなかったのだが、もし、俺の予想通りに頭を岩場か何かに打ちつけていたのなら、その時は大丈夫だと思っていても、後から頭の中で出血し、それが固まると非常にヤバい状態になってしまうのだから。
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