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ー未知ー203

 雄介がこの状態では話ができないと思ったのか、後はもう俺に任せても大丈夫とでも思ったのか、美里はソファから立ち上がると、 「今日はもう、私は大丈夫だわね……」  そう確認してくる美里。 「はい……大丈夫ですよ……。今日は、本当にありがとうございました……」  と俺は全然元気なので、俺もソファから立ち上がる。そして美里に向かい頭を下げる。  一旦、雄介のことをソファへと寝かせると、美里を玄関まで見送りに向かう。 「では、これからも、宜しくお願いしますね」  と俺が言うと、 「こちらこそ、宜しくお願いしますね」  と美里は言い、家を出ていく。  そこで一瞬だけ胸を撫で下ろす俺。  だって、とりあえず美里との話し合いを終えることができたからだ。  今まで日々、雄介と美里との話し合いをヒヤヒヤしながら待っていたので、一つ終えることができて、やっと肩の荷が降りた感じがした。  そして俺は美里を見送ると、さっきいたリビングへと戻って行く。  お昼過ぎから美里とは約束していて、気づいた時にはもう夕日が傾き始めている時間になっていたようだ。  短いようで長い時間、美里と話をしていたのかもしれない。  だけどこれでやっとひと段落した感じだ。  俺は体から力を抜く感じで、雄介が座っているソファへと腰を下ろす。すると、それに気づいたのか、雄介は俺の方へと顔を上げ、 「姉貴、帰ってもうたのか?」 「……ん?」  いきなりの雄介の言葉に、俺は一歩遅れて返事をする。 「あ、ああ……もう帰ったよ。それに、気づけばもう夕方じゃねぇか……。美里さんだって色々と用事があんだろ? 夕飯の支度しないとだしな」 「あ、まぁ……琉斗も中学生やしなぁ……夕飯とかって、やっぱ母親のご飯食べたいと思うしな。ほら、普段、姉貴が仕事の時は自分で作ってるのかもしれへんけど……姉貴が休みの時くらいは、母親に作ってもらいたいもんやんか……それに、部活とかして帰宅して、あー、お腹空いたー! って帰ってきて、テーブルに料理が並んでおったら、嬉しいやんか……」 「え? あ、まぁ……確かに、そうなんだよな……」  俺にはそんな記憶がないので、曖昧な返事をする。  もしその経験を俺もしていたなら、もっとちゃんとした返事ができたのかもしれない。  ところで、雄介は大丈夫なのであろうか。さっきよりはマシになってきたということなのだろうか。  確かに先程より元気のある声で、わりと長く話をしていたので、大丈夫なのだろう。

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