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ー閃光ー2

 いや、医者になって働いている以上、ゆっくりしている暇なんていうのはないということだ。何かあったら病院へと向かう。それが基本なのだから。  だけど、こうしてゆっくりと雄介と居る時間っていうのがあるのだからいいのであろう。昔、俺が医者で雄介がまだ現役で消防士をしている時なんかは、全く二人の時間なんてなかったのだから。  だから今は二人でこうしてゆっくりと夕飯を食べられる時間というのが、幸せな時間と思うのであろう。  しかも、ゆっくりと雄介と話もできる時間でもあるのだ。  話の内容はどんなことでもいい。雄介からは美里のことでもあるし、俺の方は仕事のことでもある。  だけど俺の方は話し下手だから、そんなにないのだけど、雄介の場合には、その話を大きくして話してくれるのだから面白いのかもしれない。 「たまには、琉斗君の勉強も見てあげてんのか?」 「あ、いやー、流石に琉斗と会ってる時間がないっていうんかな? だって、中学生って言ったら、部活で遅くなるもんやんかぁ。俺が姉貴の家にいてる時間っていうのは、まだまだ、たまにやし、寧ろ動かないよりかは動いた方がええから、あんま、家事とかを手伝うってこともしないしな。姉貴が言っておったけど、あまり食べへん方がええみたいやで……まぁ、姉貴が嘆いておったけど、ちょー、やっぱ、姉貴っていいお年頃やねんから、太って来る時期でもあるんやけど……動かんかったら、太る一方やって言っておったわぁ……だけど、食べたいとかなぁ……」  それを言いながら笑って話す雄介。  しかし、そういう話を兄弟で気楽に話せるっていうことは本当に雄介のところの兄弟は仲がいいのであろう。 「そうなんだな……」  俺の方は半分は話を聞きながらも、微笑むのだ。  そう想像すると、二人の仲が微笑ましかったからなのかもしれない。 「『ちょっと、雄ちゃん……』とか言って、姉貴は俺に甘えてくるんやで……」  そこでわざわざ女性のように高い声を真似してまで話してくる雄介。  今度はそこで俺の方は笑いそうになってくる。  逆に似てない方が面白かったりするのだから。 「逆にいいんじゃねぇのか? だってさ、ウチの兄弟の方は、みんな男だろ? そんな風に甘えられたら、気持ち悪くねぇ?」  半分ふざけたように言った俺に、今度は雄介の方が『プッ』と笑い出す。 「確かになぁ……」  そんな風に雄介と何かしら食事の時間っていうのは話していることが多い。それに俺たちの赤ちゃんをお腹で育てている美里のことも気になるところだからだ。  確かにその点では雄介がサポートしてくれているのだから、気持ち的には安心ではあるのだけど。

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