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ー閃光ー9
「だけど、本当にその頃っていうのは、雄介おじさんには吉良先生がいたから、少し恨んでた……」
そう、最後の方はこう恨みを込めて言われていたような気がしたのだが、気のせいだろうか。
その琉斗の言葉に、俺の方は気持ち的に怯えた感じになっていたのかもしれない。それに琉斗の表情も少しばかり睨むような感じになっていたのだから。
「だけど、今は全くもって、そんな感情みたいなのは、吉良先生にはないから、安心して……」
そう直ぐに笑顔に戻った琉斗に安心する俺。
「だって、俺は、雄介叔父さんからしてみたら、親戚なんだもん……そういった感情は持てないもんね……」
そう笑顔で言う琉斗なのだが、「親戚だから」という世間的な何かでこう割り切ろうとしているのかもしれない。
まさかとは思うのだが、琉斗の方も「親戚」という言葉がなかったら、雄介に恋をしていた、ということになるのであろうか。
そう思うと、何だか「良かった」と思ってしまうのは、悪いことなのであろうか。
琉斗からすると、「切ない恋」なのかもしれないのだが、逆に「親戚だから」で割り切れるところがいいところなのかもしれない。
俺は琉斗のその言葉を聞いて、琉斗の気持ちが分かってしまったからなのか、切ない気持ちのままでいると、
「ご飯出来たでー!」
と雄介が声を掛けて来る。
「ご飯出来たってー!」
と琉斗の方は、今何事もなかったかのように俺に声を掛けて来るのだ。
「あ、ああ……」
と俺の方は返事はするものの、未だに琉斗の今さっきの言葉で心は晴れていない。
きっと今の俺っていうのは、暗い気持ちのままなのだから、暗い表情のままだろう。
とりあえずお昼が出来たからなのか、キッチンテーブルの方へと向かう俺。そして雄介の隣へと座ると、琉斗の方は雄介の前へと座るのだ。
すると目の前には、琉斗がリクエストした通りに、お子様ランチが出来ていた。ウィンナーに卵焼きにハンバーグとオムライスと、本当にお子様が好きそうな料理がワンプレート皿に乗っけられていたのである。
「流石にオムライスに旗はなかったから立てられんかったけど、とりあえず、お子様ランチってイメージで作ってみたわぁ……」
「うん! これでいい! 本当に、雄介叔父さん、昔はよく作ってくれたよね?」
と琉斗の方は満足そうなのだから、それはそれでいいのであろう。
見た目の感想もそこまでにして、三人で「いただきます」を言った後に口へと食べ物を運ぶ。
本当に雄介が作ってくれている料理っていうのは、美味しい。卵焼きは口の中でフワフワと噛まなくてもとけているっていう感じだし、ウィンナーはただ焼いただけなのに、食感が「パリッ」っていう感じだし、相変わらずの味で美味しさだった。
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