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ー閃光ー16
「あ……」
そこに変に納得してしまったのは、むしろ俺の方なのかもしれない。
確かに雄介の言う通り、美里には旦那さんがいなくて、琉斗を一人で育てているからこそ、自分は強くいなければならないと思い、余計に琉斗や雄介の前では強い人間であろうとしているのだろう。
その俺の言葉に、雄介が俺の方へと視線を向ける。そして笑顔を見せる雄介。きっと俺の『あ……』という言葉に反応してくれたのだろう。
「まぁ、そういうことやと思うで……。でもな、一応、中身は女性なんやから、琉斗はお母さんのこと、守ってあげないとなぁ……。人間、頑張りすぎると体が参ってしまうもんやからな」
さらに雄介は琉斗に向けて笑顔を向けるのだ。
そう、雄介はこうして琉斗に優しく説得しているのかもしれない。
あんなに強く見せている人間でも、何かあった時には心が簡単にポキッと折れてしまうものだから、雄介はそう琉斗に教えているのだろう。
「それにな、今、琉斗のお母さんは、俺たちのために、お腹に赤ちゃんがいてるから、余計に体も心も弱っておるから、いつもそばにいる琉斗がお母さんのこと支えてやってな。確かに、俺たちも姉貴のことは十分にサポートしていくつもりやけど、一番姉貴のそばにいつもいるのは、琉斗やからなぁ……。そこのところは琉斗に任せたで……」
そう言って雄介は琉斗の肩に手を置くのだ。
そんな雄介の言葉に、琉斗は大きな声で返事をし、そして大きく頷くのだった。
子供って、任せられると、それを頑張ってやり抜こうとするものだ。だからそこをちゃんと雄介は捉えて言ってくれているのだろう。
「じゃあ! 僕は今日はもう家に帰るねぇー。雄介叔父さん! ご飯ありがとうございました!」
そう言って雄介と俺に向かい頭を下げる琉斗。
きっとこの礼儀正しさみたいなのは、美里のおかげなのだろう。
「全然、俺の方は琉斗がここに遊びに来たり、姉貴のことで相談があったり、あとは学校のことで何かあった時には言いに来てええからなっ!」
「あ、はい!」
年頃の子供にこうして安心感を与える雄介って、本当にすごいと思う。
きっとこれからは琉斗とも仲良くしていくだろう。
琉斗はリビングのテーブルから立ち上がり、俺たちも琉斗に続いて立ち上がり、一緒に玄関の方へと向かう。
そして玄関で琉斗を見送ると、
「ほな、またな……」
「今日は、色々とありがとうございました!」
琉斗は俺たちに頭を下げ、家を出て行く。琉斗の家は隣のアパートだから、心配せずに見送れるところだろう。
そのことに安心し、俺たちは琉斗を見送ると部屋の中へと入るのだ。
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