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ー閃光ー26
確かにこれ以上のことを望んでしまったら、何かが崩れてしまいそうな気がする。
今だって、雄介と結婚できて、子供も生まれるという時に、ただただ看護師が真面目というだけで交代してとは確かに言えないのかもしれない。
いや、違う。
ただ和也や裕実がいないだけで、俺が寂しく感じているだけなのだろう。
そういえば、最近、和也たちと連絡していないような気がする。
確かに俺の方からはよっぽどのことがない限り、和也たちに連絡をすることがないからだ。
とりあえず俺は部屋にあるパソコンで色々と仕事をしていると、今俺とコンビを組んでいる看護師が戻ってきたようだ。
真面目な性格だからなのか、裕実のように部屋をノックして入ってくる。
その音さえも、パソコンで仕事をしている俺からすると、イライラしてしまうのは気のせいだろうか。
「吉良先生、戻ってくるのが遅くなってしまって、申し訳ございません」
そう言って俺の後ろで頭を下げていた。
「美潮君、大丈夫だよ……。それに、今は急ぎの仕事はないだろ?」
そう、俺と今コンビを組んでいる看護師の名前は美潮洸(みしお こう)。だから俺は「美潮君」と呼んでいる。
「そうでしたね。では、次、私はどうしたらいいんでしょう?」
『……へ?』と俺は心の中で思ってしまった。これが和也なら、別に俺から何も言わなくても何かしら動いているからなのかもしれない。確かに、看護師というのは医師の言葉に従って動くことが多いのかもしれないが、それでも毎回のようにそう聞かれることが多いのが、この看護師だ。
多分、まだ若いからなのかもしれない。
俺たちの時代というのは、ある意味、自分で色々と動いてきた時代だった。しかし美潮の時代では、誰かの指示がないと動かないのだろう。
再びため息を吐く俺。
しかし、患者のことを考えるので手一杯な俺に、他の人の仕事のことまで考える余裕はない。
和也のように自分で仕事を見つけて、普通にやってくれればいいのにと思う。
やっぱり和也の場合、不真面目そうに見えても、真面目だったということがこの看護師のおかげでわかった気がする。
美潮の場合、一見真面目そうに見えても、どの仕事に対してもついつい俺に色々と聞いてくる。しかし、真面目な点といえば、仕事を振ると、しっかりとやってくれることだろう。
「うん、そうだね……今日はもう、部屋の掃除だけでいいんじゃないかな?」
そう軽く俺は、仕事を美潮に振るのだ。
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