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ー閃光ー38

 それから地下の駐車場に車を止め、三階にある自分たちの家へと向かう俺。  もうすぐ雄介と会えるのだから、今の俺は笑顔だし、鼻歌まで歌ってしまっていた。流石にご近所さんに迷惑にならない程度にだ。  そして玄関の前まで来ると、鍵を出してドアを開ける。すると、俺の鼻には夕飯のいい匂いがしてくる。  本当に夕飯とかご飯の匂いっていうのは、昔も今も変わらない。そして、 「ただいまー!」  と言えば、  「おかえりー!」と返ってくるだろう。  だが今日はその「おかえりー」が返ってこない。気のせいであろうか。  俺は「ん?」と思いながらも靴を脱いで、部屋の中へと入って行く。  奥の部屋には電気が点いているのに、今日は雄介の気配すらない。  もしかしたら何かを買い忘れて、出掛けているのかもしれない。いや、靴は玄関にあったはずだ。  不思議に思いながら、俺は辺りを見渡す。  だが、あの背の高い雄介の姿は見当たらない。  キッチン、お風呂、トイレと探してみたが、まったく雄介の気配が無い。  玄関に雄介の靴があるのに、部屋の中にその雄介の気配が無いなんてことがあるのだろうか。  それともサンダルを履いて、出掛けたのだろうか。  それならあり得る。  そう思った俺は、リビングテーブルに座って雄介の帰宅を待つ。だがその後、全く雄介が帰宅してくる気配が無い。  なら、メールでもして連絡してみた方がいいと思い、俺はスマホを手にして雄介にメールする。  だが数分しても、雄介からの連絡は全く無い。  そこに焦りと不安が俺の頭をよぎる。  そういえばさっき、俺が車からメールした時に、「迎えに行けない」と言っていたはずだ。  なぜ、その時、雄介は俺を迎えに行けないと言っていたのだろうか。今はそこが気になるところだ。  数分しても雄介からのメールの返事がないため、今度は電話を掛けてみる。  すると、コール音が部屋内から聞こえてくる。  俺はそのコール音が部屋内から聞こえてくることに疑問を感じながらも、その音が聞こえる方へと向かってみる。  それは、今まで部屋内で雄介を探していた時には探していなかった場所から聞こえてきた。  そう、寝室の方からコール音が聞こえてくる。  俺はその寝室のドアをそっと開けると、ベッドの上でうつ伏せの状態で雄介が横になっていた。  そこに雄介がいることに安堵し、スマホを切ると、そっと俺は笑顔で雄介へと近付く。  きっと雄介がいたことに安心できたから、笑顔で近付けたのだろう。

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