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ー閃光ー39

 しかし、なぜ今日はここで雄介は寝てしまったのだろうか。  それに、まだ大人なら寝る時間ではないはずだ。むしろ、これからの時間が大人の時間なのだから。  そこが今、俺の中で不思議に思っていることかもしれない。  俺はそれが気になり、ベッドの端に腰を下ろして、リビングから漏れてくる灯りだけで雄介の様子をうかがった。  寝ている様子なので、起こさないようにそっと雄介の髪を撫でる。その髪質は柔らかく、まるで猫の体を撫でているような感触だ。  浅くゆっくりとした呼吸を繰り返す雄介。そんな雄介に安心する俺。  だけど気になるのは、夕飯を作っている最中だったのか、それとも作り終えた後だったのか、まだ確かめていないのでわからないけれど、その途中で雄介がここに来て横になったということだ。  頭を撫でていて気づいたことなのだが、若干髪が濡れているような気がする。  雄介は夕飯を作る前にお風呂にでも入ったのだろうか。いや、お風呂はいつもご飯を食べ終えてから、俺と一緒に入っているのだから、雄介が勝手に一人で入るわけがない。  それも俺の中で消える。  髪に触れた後、額の方へ手を伸ばして触れてみると、額にも薄らと汗が滲んでいるように感じる。  確かに今の季節、暑いから額くらいは汗をかくのかもしれないけれど、それでも部屋の中にはエアコンが入っているので、薄らとでも汗はかかないのかもしれない。  だんだんと今の雄介の様子がおかしく思えてきた。  汗をかかないはずの空間で、髪が濡れてしまうほどの汗をかいていた雄介。そして、まだ全然寝る時間ではないのに、すでにベッドでしかもうつ伏せの状態で寝てしまっている雄介。  でも、ちゃんと呼吸をしているから、そこは正常だ。  やはり何かがおかしい。  これは雄介を起こした方がいいのだろうか。  夕飯もお風呂もまだなのだから、起こすのはありかもしれない。 「雄介……」  そう、俺は優しく雄介を起こす。 「…………」  さすがにそれくらいの声量では起きないだろう。だからもう少し大きな声で、 「雄介……ご飯、まだだろ? 起きて作ってくれないか?」  少しだけ言葉を足して、起こしにかかる俺。 「……ん」  それは寝言なのか、返事なのか、そんな感じの声が聞こえてくるのだから、覚醒し始めているのだろう。そこからは、手で軽く雄介の体を揺すりながら起こし始めた。

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