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ー閃光ー40
「あ……スマン……寝てもうたみたいで……」
そう言いながら雄介はうつ伏せの状態から少し体を起こし、俺の方へと視線を向けてくる。
「あ、いや……別にそこは大丈夫なんだけどさ……でも、珍しいんじゃねぇか? お前がこんな時間からそこで寝てるなんてさ……」
「あ、いやな……また少し頭が痛かったからな……薬飲んで、そのままベッドにダイブして横になってもうたからなぁ」
その言葉に変に納得してしまう俺。
雄介の言葉で、今までのことが全部パズルのピースのように繋がったのかもしれない。
夕飯はいい匂いがしていたのにテーブルに並べられていなかったこと、さっき俺が雄介に車からメールした時に『今は行けない』と言われたこと、帰宅しても人の気配がなかったこと、その全部が繋がったような気がしたのだ。
「……って、また頭が痛かったのか?」
「……まぁな……」
そう言いながらベッドの上に座り始める雄介。
「とりあえず、もう大丈夫なんかな? さっき横になる前に薬を飲んだし……」
その場で首を振り、頭が痛くなっていないかを確かめているようにも見える。
「あ、そっか……でもさ、そんなに頭が痛いのを繰り返してるなら、もう一回くらい病院に行ってみたらどうだ?」
「そうやなぁ……だけど、昼間は割と忙しかったりするし、なかなか病院に行く時間がないんやなぁ。まぁ、大丈夫やろ? 薬で治るくらいやからなぁ」
「え? あ、まぁ……そこは、雄介の判断に任せるよ……」
そう言いながら、雄介は今度はベッドから降りてキッチンの方へと向かう。
しかし最近、雄介が頭が痛いという回数が多くなってきているように思える。
前に病院に行った時にはまだ異常はなかったけど、あれからかなり時間が経っているから、一度検査してみた方がいいと思うのだが、雄介が大丈夫と言うから、強く言えない気がする。
とりあえず俺も雄介が向かったキッチンへと向かう。
きっと雄介が夕食を作ってから、かなり時間が経ったのだろう。雄介は今、料理を温め直している。
俺はリビングのテーブルに着くと、
「なぁ、さっき言ってたよな? 昼間は忙しいって……お前、昼間は何してんだ?」
「あ、それな……姉貴ん所で掃除したり、買い物行ったり、飯も作って、皿も洗ってるんや」
「へ? もしかして、お前、俺の家のことと美里さんの家の家事、両方やってるってことか?」
「ま、そういうことになるわぁな……」
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