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ー閃光ー54

 どうやら、ようやく雄介が今置かれている状況を把握してくれたようだ。そこで、安心する俺。  そう、思わず息を吐いてしまうほどに。  あとは雄介を検査に向かわせるだけだ。 「じゃあ、雄介……検査に行こうか?」  そう言って俺は雄介の手を取る。  もう夫夫なのだから、手を繋ぐことに特に気にしない。どんな夫婦でも手を繋ぐことはあるのだから。  そこで、雄介は記憶を失くしてから初めてベッドから降りたようで、何か異変に気付いたらしい。 「痛っ!」  という声が聞こえてくる。 「……え?」  そう思い、俺は雄介の方へと視線を向ける。どうやら、雄介は頭を二段ベッドの天井にぶつけたらしく、打った箇所をさすっている雄介が視界に入ってくる。 「私って、背が高かったんですね」 「え? あ、まぁな……確か……百八十センチはあるって言ってたぞ……」  そう答える俺。そう、雄介からはそれしか聞いたことがなかったのかもしれない。 「そうだったんですね……これから、色々と気を付けないと、また頭をぶつけそうです」  そう言われてみれば、確かに雄介はいつも自分の身長に気を遣っていたように思える。  車に乗るときや電車に乗るときも、無意識のうちに屈んで乗っていたのだから。  とりあえず病院のことは、俺の方が詳しいからか、美里は黙ってただただ付いてくるしかないように見える。いつもは元気な美里なのだけど、今日は本当に静かだ。  廊下を歩いている時も、俺が今は雄介の体や色々なフォローをしているからか、美里は俺たちの後ろから付いてくるしかないようだ。  とりあえず俺は雄介の腰に手を回し、脳神経外科の診察室へと向かう。ただ、今日はMRI室が空いているかどうかは微妙なところだ。緊急病院としても運営されているため、緊急で検査が必要な人のために、予約は満杯にはしていないはずだ。緊急の場合には入れられるように、余裕を持たせているはずだからだ。  ある意味、俺がMRI室に連絡して、予約を取っておけば良かったのかもしれない。  きっと、今まで俺の中でパニック状態だったから、そこまで頭が回らなかったのだろう。そして、俺と裕二で雄介の診断をすれば良かったのだから。  それを職員用の廊下で思いつき、俺は裕二に連絡を入れる。  病院用のPHSで裕二に連絡を入れた俺。  ただ、裕二は割と忙しいから、電話に出てくれるかどうかは微妙なところだ。

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