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ー閃光ー61
そこで俺と美里は一旦別れることになる。次は一体いつ会えるのか、というのは分からないところなのだが。
俺は雄介のことを支え、マンションのエレベーターへと乗り込む。
今日は本当に雄介が記憶喪失になったおかげで、どっと疲れが出ているような気がする。
だけど、まだこれから俺にはやらなきゃいけないことが沢山あるのだ。
部屋へと帰ってからは、家事もやらないといけないだろうし、料理にお風呂と、まだまだやることは沢山あるのだから。
とりあえず今は家の玄関前まで来たのだから、雄介に、
「ここが、俺たちの家だからな」
と声を掛けるのだ。
「ここが、俺たちの家なんですか?」
完全なおうむ返しになっていたような気がする。それに雄介からは完全な疑問系だったのだから、家の記憶さえも無いということだろう。
そこで俺は気持ち的にため息を吐きながら、今度は部屋内へと入り、部屋内を雄介に案内するのだった。
いつも普通だった日常が、雄介が記憶喪失になってしまったせいで、全体的に動きが変わってしまいそうだ。
それと、医者としてどんな風に雄介が回復していくのかを見ていたいのかもしれない。
とりあえず俺は雄介をリビングテーブルの椅子に座らせる。
そして取り込まれていない洗濯物を取り込みにベランダに出たり、それを畳んだりしていると、やはり久しぶりに家事をやる俺は時間がかかってしまったらしく、帰宅してから、大分時間が経ってしまっているようにも思える。
お皿や掃除の方は、きっと雄介が美里の家に行く前にやっていたからなのか、今日の分は無いものの、明日からは俺がやらないといけないだろう。
そこで息を吐く俺。
しかし、こんな生活はまだ始まったばかりだ。
とりあえず次に俺が取り掛かった仕事というのは、ご飯の用意だ。
さっき帰宅してきた時点でご飯を炊いておけば良かったと思っても、もう遅いだろう。明日からは帰宅したら直ぐにご飯を炊くというところを反省しながら、冷蔵庫を覗くと、この冷蔵庫の中というのは雄介が今まで管理してきただけあって、本当に色々な材料が揃っていたのだから。
本当に、これを見ると雄介の凄さに感動する。
しかも、こうきちんと分けられているというのか、整頓もされていて、直ぐに色々な食材が取り出せるようになっているのだから。
しかし今日はもう仕方がない。自分が得意な料理しか作れないのだから、俺は得意な卵料理を作り始めるのだ。
俺がキッチンに立つのは何年ぶりなんだろうか。
そうしているうちに、雄介はつまらなくなってしまったのか、
「テレビ見てもいいでしょうか?」
と聞いてくるのだ。
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