『そこまで望が自信たっぷりに言うんだったら、俺たちは、望と雄介が戻ってくるまで島の診療所で働くことにするよ。で、お前たちが島に戻ってきた時に、いろいろとフォローすればいいんだろ？』 「ああ！ そうしてくれると嬉しいんだけどな」 　何でか俺の方は、本当に和也たちに心配かけたくないという思いで自信たっぷりに言っていたのか、それとも演技とまではいかないまでも強気な感じで言っていたのだから、そこはちゃんと和也には届いていたようだ。 『分かった。ならさ、また、雄介のことで愚痴りたいことがあったら、いつでも電話してきてくれてもいいんだからな』 「いつでも、っていうけどさ……お前たちって、ホント、しょっちゅう何ていうの……あー、そういうことシてんじゃねぇか……」 　さすがに俺も、そういうことをハッキリとは言えないからなのか、こう濁す感じで言うのだ。視線だって電話越しにも関わらず、完全に宙を漂わせてしまっていた。 　俺がその言葉を言った直後、和也の口から吹き出すような笑い声が聞こえてくる。 『なら、なるべく夜はシないようにするからさ……』 「……ってことは……昼間だったらスるってことなのか？！」 　と、俺はなぜか自然と突っ込んでしまった。 　再び吹き出す和也。 『ちょー、今日の望、逆に大丈夫か？！ ってなるくらいなんだけどさ……。ま、いいや……とりあえず、そういうことだから、何か雄介のことで心配なことがあったり、愚痴があったりしたら電話してこいよな。確かに、メールでも十分だとは思うんだけど、やっぱり愚痴っていうのは、口にした方が楽になるんだろ？ 人間さ、口で言っちまった方が、心の中にあるものを吐き出すことができるから、メールじゃきっと上手く吐き出せないと思うんだよ。だから、電話してこいよ……』 　本当に、その和也の言葉には安心感がある。きっと和也は本当に心から言ってくれているのだろう。 「ああ、分かったよ……ありがとう……」 　そう、俺も素直に感謝の言葉を口にしていたのかもしれない。 　いや、雄介が俺をここまで成長させてくれたから、今では和也にも素直に言えるようになってきたのかもしれない。 『ああ！ じゃあ、またな……』 　和也はそう言い、俺も 「ああ、また……」 　そう言って、今日は電話を切るのだ。 　なんだか、久しぶりに和也たちと電話ができて、心が安定したというか、これからのことについて前向きになれた気がするのは気のせいだろうか。 　遠く離れていても和也たちと話ができるということが、安心感に繋がったのかもしれない。しかし、和也という人間には不思議な魅力があるのだろう。