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ー閃光ー79
甘い声に男性の荒い息遣い。
そんな声聞こえてくると、俺の方だて雄介とは体を何十回と重ねてきたのだから、完全に体が覚えていると言っても過言ではないのだから、体の中から疼くような感じがしてくるのだ。
きっとそこの個室にいる人の一人は完全に中に熱いモノを挿れられているのであろう。 それを想像するだけで、俺の方はもう雄介のあの熱いモノが中に入っていることを想像してしまっていた。
しかしたった一日だけで、雄介を思い出してしまうなんて、本当に俺は雄介のことが好きだったのであろう。 いや、じゃなきゃ結婚までしてなかった。 本当に好きだからこそ結婚したのだから。
婚約指輪を見に行ったとき、本当に嬉しかった。
これで完全に雄介は俺のものにできると思った。
そう恋人同士でいるときっていうのは、例え恋人同士でも、そこはまだ完全な他人と変わらないのだから、まだまだ不安を感じていたのかもしれないのだけど、婚約まですれば、ある意味雄介は自分のものみたいなところまで来ていたのだから、本当に嬉しかったのだ。
婚約指輪を予約した後、二週間後、雄介は一人で受け取りに行って、それから仕事を終えた俺たちは初めて二人で食事をした展望レストランで約束をしていた。 そしてそこで、雄介は夜景が綺麗に見えるレストランで、俺に婚約指輪を渡してくれたのである。
それからは別に結婚式なんて上げずに、婚姻届を役所に出して、俺たちは結婚することができた。
せっかく雄介と好きな人と結婚できたのに、今凄く幸せで生活だって順調に来ていてついこの間まで幸せを感じていたはずなのに、どうして神様はこんなにも俺達には試練を与えるのであろうか。
いや人生なのだから、誰しも試練というのはあるのであろうが、本当に俺たちの場合には波のように試練というのは訪れているのかもしれない。
いや人間において試練というのは誰にでもあるということだ。
人の人生は十人十色。 それぞれに生きていく中で試練があるということだ。
色々と考えているうちに俺の体はそこで足から崩れ落ちる。 そしてよく分からない涙が頬を伝い落ちるのだ。
たった一日で俺の体というのは、雄介が記憶喪失になってしまったことで、精神的にも肉体的にも限界がきてしまったのかもしれない。
今まで一応気を張っていたのだけど、この現場で完全な引き金だったのであろう。
トイレなのにも関わらず、そこにヘタレ込んでしまっていた俺。
顔を伏せて思いっきり泣いてしまっていたのだから。
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