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ー閃光ー85

「え? あー、いいのかなぁ?」  と自分に問いかけるように、新城たちにも言っているような気がする。そう、完全に視線を空へと向けていたのだから。 「そこは、吉良先生が決めていいですよ。ただ、私たちは、吉良先生の心中がね……気になっただけですから……。このまま帰宅して桜井先生と二人きりでいられるんですか? 確か、お昼にそんなことを言っておられましたよね?」 「あ……」  そう言うと、俺と新城の視線が合う。 「でしょう? ですので、私たちのことを今日は吉良先生のお家に連れて行ってもらえないでしょうか?」  何だか、今真剣な感じで新城に言われて、わかったような気がする。確かに、俺はお昼に新城にそんなことを愚痴った気がする。だから新城たちはそれを気にしてくれて、俺の家に来てくれると言ってくれたのだろう。 「ああ、わかった。それなら、一緒に……」  俺はまだ新城たちに慣れていないからか、和也や雄介と会った頃のように言葉を素直に上手く言えず、そう答える。  何だか、そこに安心してしまったのは気のせいだろうか。  確かに今、雄介と俺が一緒にゆっくりできるわけではないのだから、他の誰かを連れて行くのも一つの手なのだろう。 「それに、医者として、桜井先生のことが気になりますしね」 「あ、まぁ……そこは、そうだよな……」  そこに納得してしまう俺。とりあえず今は、俺的に頼れる身近な存在は新城と実琴しかいないのだから、仕方がないことだろう。 「じゃ、車はどうします?」  そこは聞いてみるところだ。俺もだけど、新城も車を所持しているので、一応聞いてみようと思ったのだ。 「……って、今、吉良先生のお住まいはマンションなんですか? 一軒家なんですか? それと、駐車場に車は止められるんですか?」  と、まとめて聞いてきたが、そういうことなら別に隠す必要もないから、 「それでしたら、住まいはマンションになりますし、駐車場の方はどうでしょうね? 確かに、うちのマンションにはお客様専用駐車場がありますが、そこには三台くらいしかスペースがないので、空いていれば止められるという感じなんですけどね」 「でしたら、吉良先生の車で一緒に行く感じでいいですかね?」 「わかりました」  俺は素直にそう答える。  それから俺たちは病院の駐車場に向けて歩き出し、俺が止めている車の前まで来ると、まずは新城たちを車の後部座席に乗せる。そして車を走らせている間、後ろに座っている二人は、どうもイチャイチャし始めたように思える。

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