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ー閃光ー101

 いやしかし、初めて訪れた人の家で、恋人と体を重ねたいと思うのであろうか。 だけどそこはそれだけ新城は俺に心を許しているっていうことなのであろう。  とりあえず俺はソファで一人思いっきり息を吐く。  すると聞こえて来るのは、お風呂場からの水音だ。 しかも先ほど新城は『実琴と体を重ねて来る』と言っていたのだから、何だか急に俺の頭の中で妄想が始まってしまっていた。  そうだ、恋人同士なのだから、そりゃ、キスもそれ以上のこともするのも当たり前で、今日の昼間だって、あの二人はトイレの個室で、新城のアレを実琴の中に挿れて気持ち良くなっていたのだから。  これが和也と裕実だったら、雄介が記憶喪失の状態ならば、そういう考えみたいなのは持たないのかもしれないのだが、本当に新城と実琴の場合には別だ。  なんというのか遠慮がない、というのか、好き勝手というのか、だけど、それは新城は俺たちのことを気を許しているという意味でもあるのであろう。  しかし多分口は手か何かで塞がれてしまっているのかもしれないのだが、僅かに甘い声がが漏れてきてしまっているのは気のせいであろうか。 「……マジかぁー」  と俺の方は再びため息が漏れる。  確かに新城はお風呂でシてくるとは言っていたのだけど、まさか本当にシてくるとは思ってなかったことなのかもしれない。  俺だって雄介とは幾度ともなく体を重ねてきたのだから、体の方が分かっている。  きっと昼間の時だって、俺はその新城と実琴の現場に出会してしまったのだから、それを雄介と重ねてしまっていたのであろう。  本当に十分すぎるくらい、俺と雄介っていうのは体を重ねてきているのだから、俺の方だって、脳や体でそれを覚えてしまっている。  確かに記憶の無い雄介には攻められたことはあった。  だけどそれは雄介であって、雄介ではなくて、俺は未だにそこのところについては認めてはいない。  そこはやはり人間だからであろうか、新城と実琴のを聞いているだけで、体が勝手に疼いてというのか、想像してしまっているのだから。  俺は今一度息を吐く。  だが嫌なくらい、俺の頭の中では、雄介との思い出が蘇ってしまっていた。  特に今は本当に体を重ねている時の思い出をだ。  もうこれからは新城たちのことを呼ばないようにしようと思うのだが、そうなると、俺の方は記憶の無い雄介に襲われてしまうのかもしれない。 今の俺はそのどちらかを選ばないとならないということなのであろう。  その考えを頭の中で考え始める。  だけど自分の中で簡単に答えが出るわけもない。  きっと過去の雄介も俺が記憶喪失になった時には、こんなにも悩んでいたのであろう。

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