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ー閃光ー102

 今日はとりあえず新城と実琴のおかげで俺は記憶の無い雄介に襲われる心配は無いだろう。  いや寝る時はどうしたらいいのであろうか。  新城と実琴に関してはもう一つ部屋があるのだから、そこに寝てもらうようにして、俺はまたソファで寝るしかないのかもしれない。  そうすればいいだろう。 そこに納得した頃に、新城と実琴がお風呂から出て来たようだ。 「颯斗……今日も気持ち良かったよー……」  そう甘えたように言っている実琴。  今日はあまり実琴の存在はなかったように思えるのだけど、新城と二人きりになれた瞬間から新城に甘えてしまっているのであろう。  そんな時でさえ、俺の方は今は無い。 「吉良先生……お風呂、ありがとうございました……」  そうサッパリしたような表情でお礼を言って来る。 「あ、ああ……おう……」  なんだか俺はまだスッキリとした感じはしないからなのか、適当な返事で誤魔化してしまっているのかもしれない。  流石にそんな俺に新城が気付かないわけがないだろう。 俺の耳側で、 「やっぱり、私達の声、ここまで聞こえてました? だって、吉良先生の顔がそう言ってるんですから……すいません、実琴の声がうるさくて……」  その言葉に一気に顔を赤くする俺。  たったそれだけの言葉でも俺の方はそういうことに関して想像してしまったということなのであろう。 「あ、いや……べ、別に……俺の方は……何も想像してませんけど……?」  人間、本当に嘘を吐く時っていうのは、視線を宙へと浮かせてしまうもんだ。 俺だってそこは例外ではないのだから。  そんな俺に新城の方はクスリとすると、 「今度、吉良先生の方も、私たちに混じってみますか?」  再びその新城の言葉に顔を赤くする俺。 そして思わず新城へと顔を上げてしまったのである。 「それとも、桜井先生と一緒にですか?」  本当に新城の方は、今の俺たちの状況を分かっているのであろうか。 いやきっと全く分かってないからこそ、そういうことが言えるのであろう。 そこは和也とは違うところなのかもしれない。 「とりあえず、私たちの方は、何処で寝たらいいんですかね?」  そう言うと急に普通の話を振り始めたからなのか、さっきまで俺の視線に合わせて屈んでいたのだが、その状態を戻すのだ。 「あ、えーと……」  そこは別に考えることもなく、俺は新城と実琴を部屋へと案内するのだった。 俺達の部屋の隣りにはもう一つ部屋がある。 今は若干倉庫代わりに使っているのだが、倉庫と言ってもそこまでごちゃごちゃとしているわけではなく、箱が二、三個置いてある部屋だ。 そこに敷き布団を敷けば十分に寝ることが出来るだろう。

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