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ー閃光ー105
確かにそうなのかもしれない。
自分がそう思ったなら、その時点で親友ということなのだろう。
そこに俺は納得すると、今度は新城に向かい笑顔を見せるのだった。
これで何とか新城とは、気持ち的に少し近い友達になれたような気がするからだ。
「あー、えっと……でもさ、親友だったら、普通、『先生』呼びしないんじゃない?」
まだ俺は、新城に慣れていないからなのか、敬語とタメ口がごちゃ混ぜになっていた。
「では、私の方は、望さんと呼びましょうか? じゃあ、吉良先生は私のこと、どう呼んでくれるんです?」
新城はきっと、元からそういう口調なのだろう。親友として新城と付き合うようになってからも、敬語っぽい口調は変わらなかったのだから。
「えっと……あー……」
俺は少し考える。
新城先生の名前は確か『颯斗』だったはずだ。
やはり、ここは『颯斗』と呼ぶべきなのだろうか。今までずっと『新城先生』と呼んできたからか、いきなり名前呼びにするのは俺にとって少し難しい気がする。
和也や裕実、雄介は最初から名前呼びだったから別にいいけど、新城とは何年も苗字で呼び合っていたから、それを変えるには時間がかかりそうだ。
とりあえず、朝の俺たちは忙しい。そんなことを考える余裕もなく、俺は慌てて、
「あのー……すいません! 俺は毎朝シャワーを浴びるので、シャワー行かせてもらいます!」
やはり慌てていたからか、まだ新城には普段の口調で言ってしまっていた。それに、新城と親友になっても、雄介たちに使っているようなタメ口にはならない気がする。
そして俺は慌ててお風呂場へと向かった。
数十分でお風呂を済ませ、ダイニングテーブルに向かう。新城たちが待っている場所だ。
「サッパリしました? ご飯の用意できてますよ」
「本当にすいません! そして、ありがとうございます」
俺はそう言って、早速ご飯を食べ始めた。
雄介たちの味付けとは少し違う味に、俺は若干首をかしげてしまう。
雄介の目玉焼きは、卵が真っ白で全く焦げておらず、半熟状態なのだが、新城の作る目玉焼きは、裏面が少し焦げていて、完全に黄身まで火が通っている。
だけど、せっかく作ってくれたのだから、俺はそれを食べる。
「桜井先生が記憶をなくしてから、望さんは、朝ご飯ちゃんと食べてました?」
「……あー、コンビニでかな?」
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