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ー閃光ー106

「では、これからは朝ご飯も、私たちと一緒に食べませんか?」 「……へ? あー……いや……いいかな?」  少し遠慮気味に答える俺。すると新城の方は、 「だって、私たちは親友になったんですから、そういうところは遠慮しなくていいんですよ」  その言葉に、俺は目を丸くする。確かにさっき、新城と俺は親友になったような会話をしたのだから、新城のその提案に遠慮することはないのだろう。  少し考えてから、 「あ、そうですよね……ありがとうございます」  と言う。だって、本当にそれしかないのだから。 ただ、疑問に思ったのは、 「でも……毎日のように颯斗さんたちは家に来るってことなんですかね?」 「毎日でもいいですよ。毎朝来るのもありですし、朝からファミレスに行くのもいいですし、泊まった時なんかは、一番楽でしょうからね」 「あ、あー……」  その新城の言葉で俺は納得してしまった。要は、時と場合によるということだろう。 「それに、今回、望さんが私たちに泣きついてきたんじゃなかったんでしたっけ?『雄介さんと居られないから、泊まりに来てくれ』ってね」 「あー……」  そう言われてみれば、確かにそうだったかもしれない。そのことを思い出し、 「確かに、そうでしたよね……」  と少しばかり苦笑いをする。  新城がそれに気づいていたかどうかは分からないが、俺は新城が作ってくれたパンを口にする。  何だか、これからの生活がますます大変になりそうな気がするのは、気のせいだろうか。  確かに俺にとっては、究極の選択みたいなものなのだ。  だけど、やはり記憶のない雄介というのは、雄介であって雄介ではないから、いつものように振る舞えないのが現実だ。  俺はご飯を食べ終え、食器を流し台に置いてから、洗面台へと向かう。  もうここからは完全に仕事モードになる。俺は洗面台の鏡の前で、自分の頬を二回ほど軽く叩き、気合いを入れる。  そしてリビングに戻ると、 「雄介さんは、まだ寝てるみたいですね……。いつも雄介さんはこんな感じなんですか?」 「え? あ、まぁな……記憶喪失じゃなかった雄介はこんなんじゃなかったけどなぁ……朝ご飯も作ってくれたし、俺を見送ってくれたしなぁ」  と思わず雄介の愚痴をこぼしてしまった。  それを聞いてクスリと笑う新城。 「朝から、望さんと雄介さんの惚気話を聞けて良かったです。まさか、望さんの口からそんな話が聞けるとは思っていませんでした。やはり、私たちに気を許しているからこそ、そういう話ができるんでしょうね」  その新城の言葉に、俺の顔が真っ赤になったのは言うまでもないだろう。

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