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ー閃光ー113

 それと次に琉斗に紹介したのは、朔望と歩夢だ。 「こっちに居る、俺とソックリな人物が、俺の双子の弟で、朔望。その近くに居るのが、俺の十歳下の弟の歩夢」  そう言うと、琉斗は朔望と歩夢のことを見上げて、 「初めまして、桜井琉斗です」  本当に丁寧に朔望たちに挨拶するのだった。もちろん、琉斗が丁寧に挨拶したのだから、朔望たちも同じように挨拶を返す。 「美里さんのお子さん、琉斗君って言うんだね。初めまして、吉良朔望と言います。これから、宜しくお願いしますね」  そう言って、朔望は琉斗に向かい笑顔を見せる。 「へぇー、美里さんのお子さんなんだ。結構、可愛いよねぇ。身長も歳も俺より下って訳だ……」  既に成人しているにもかかわらず、子供っぽく言うのは歩夢だ。まあ、兄弟の中で一番下だから、わがままなのも当然だし、まだまだ子供っぽさが抜けないのかもしれない。それに、この中でずっと一番下だった彼が、自分より下の知り合いができて、少し喜んでいる様子もある。 「とりあえず、僕は吉良歩夢……望兄さんの弟。あー、今は雄兄さんの弟でもあるのかな。とりあえず、これから宜しく、琉斗君」  と、自分からしっかりと自己紹介をしてくれた。  やはり、歩夢は俺の中で一番心配な人物かもしれない。彼は一番子供っぽく、朔望よりも一緒にいる時間が短いからだ。  俺は今度、琉斗の方へ視線を向けると、 「あー、とりあえず……俺と雄介と美里さんと琉斗君でリビングテーブルに座って、和也と裕実と朔望と歩夢はテレビの前にあるソファでご飯、宜しくー!」  と、みんなが座る場所を簡単に決める。  今はこのメンバーが妥当だろう。  しかし、こんなに人数がいると、雄介の存在がかなり薄くなる。だからなのか、気づけば俺は雄介の手を握り、リビングテーブルの方へと誘導していた。  その手を握った瞬間、雄介は戸惑いながらも、ふっと笑顔を見せた気がする。  きっと雄介の記憶の奥底にある何かが、俺が触れることで呼び起こされたのかもしれない。  そして、俺は雄介を自分の隣へ座らせる。 「あのさ……僕はお母さんから聞いてるけど、本当に雄介叔父さんって今は記憶がないの?」 「……え? あ、まぁ……記憶は全くないよ……」  一応、琉斗は中学生だから、俺は優しく答える。 「見た目は……そんな風には見えないけどなぁ……」 「まぁ、見た目はそうかもしれないけど、会話してみたら分かるんじゃないかな?」

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