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ー閃光ー121

「あー……大丈夫、大丈夫! とりあえず、和也と裕実は泊まるのは構わないんだけどさ……。朔望たちはどうするんだ? さすがに布団は一式しかないからなぁ……その一式で寝るか? 四人で雑魚寝しかないんだけど……それか、春坂にある自分の家で寝るしかないかな?」 「そうだねぇ……?」  と、そこに入って来たのは朔望だ。 「今日はとりあえずここで雑魚寝させてもらって、明日は春坂にある自分の家の方に和也たちとでも行くよ。とりあえず、今日はそれでいいかな? 兄さん……」  そう確かめるかのように聞いてくる朔望。  本当にこの四人といると賑やかだ。それぞれの性格がまた違うからなのか、それぞれの意見があるからなのかもしれない。 「まぁ、朔望がそう言うんなら、それでいいかな?」 「じゃ、決まりねぇ! ってことで、お風呂貸してもらっていいかな?」  軽い感じで話が終わると、朔望が聞いてくる。 「ああ、いい……」  そう素っ気なく答えるのは俺だ。  本当なら、こういう状況の場合、きっと雄介が答えてくれるのだろうが、雄介は今は記憶喪失なのだから、本当に全部俺が答えなければならないのがめんどくさい。  特に、和也と朔望と歩夢は俺にとって苦手な人物なのだから。  お風呂には朔望と歩夢たちが先に入っていったようで、俺と和也と雄介は再びリビングテーブルで話し始める。 「そういや、さっきの答えまだ言ってなかったな……。とりあえずさ、望の家の住所っていうのは、そりゃ、望の親父さんに聞けば一発だろ?」  その言葉に俺は目を丸くする。  確かに、和也に無駄に質問してしまったようにも思える。確かにそうだ。朔望が父親に聞けば、この場所なんてすぐに分かってしまうだろう。  そこに一瞬頭を抱えたが、普通に考えれば当たり前のことだったのかもしれない。 「ま、望的にはそれが気になったのかもしれないんだけどさ……本当に雄介は大丈夫なのか? ほらさ、俺らは近くにいなかったから、今の雄介がどんな感じなのかっていうのは知らないからさ……俺もだけど、裕実もすごく雄介のことを心配してたしなぁ……」  その和也の言葉に、頭を縦に頷いているのは裕実だ。そして裕実は、 「そうなんですよー! 本当に雄介さんは大丈夫なんでしょうか?」  そう裕実は完全に心配しているのか、目を潤ませながら俺のことを見つめてくる。  和也に関しては、俺が一度記憶喪失になってしまったことがあるから、そこは案外冷静なのだろう。しかし裕実は初めてのことなので、心配なのかもしれない。 「まぁ、大丈夫っちゃ大丈夫なんだけどなぁ……。それでも、記憶喪失になる前は異常なほどに頭が痛いって言ってたんだよなぁ……。それで、船が転覆した時に、海で彷徨っている時にどこかに頭を打ってないか? って聞いたら、どうやら打っていたらしいんだよなぁ……それが記憶喪失の原因なのかもしれねぇってところかな?」

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