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ー閃光ー150
確かに、前日に俺と雄介は喧嘩をしていた。だけど、人を助けることにプライベートの事情なんか関係ない。一瞬、事故現場に行くのを渋った俺だったが、やっぱり体が勝手に動いてしまっていた。
その時、雄介は事故車の中から要救助者を助け出し、その後、俺は救急車の中で応急処置をした覚えがある。
初めて、こうしてレスキュー隊員と医者のバトンタッチができた瞬間だったのかもしれない。
それに、雄介は前日に俺と喧嘩していたにも関わらず、笑顔で要救助者を俺に託してくれたのだから。
今日もどうやら事故渋滞のようで、事故車の横を通りかかった時、雄介の視界にもその事故現場が入ったのだろう。
急に頭を抱え始めたのだから。
俺は運転中だったため、横目でチラリとしか雄介の姿は見えなかったが、両手で後頭部を押さえているのが分かった。
「おい……雄介、大丈夫かぁ!?」
後部座席から雄介に声を掛ける和也。
だが、その和也の問いかけにも雄介は答えず、ただ唸るだけで何も言わない。
きっと、和也もあまり動かないところを見ると、雄介の行動に命の危機はなさそうだ。
もしかしたら、記憶の奥底にある何かが、今の事故現場を見て思い出そうとしているのかもしれない。
「……オレンジ?」
「……ん?」
その雄介の言葉に、俺と和也がほぼ同時に声を上げる。そして和也は、
「……オレンジ!?」
と雄介の言葉を繰り返した。
その言葉を聞いて和也は少し考えた後、突然大声を出した。
「あ、ああ! そういうことなっ! オレンジって言ったら、確かに果物のオレンジっていうのもあるけどさ……確か、レスキュー隊の服の色がオレンジだったよなぁ? それに、今この事故現場を通過した時に、オレンジ色の制服を着て働いていたレスキュー隊員さんもいたしさ……」
さすが和也だ。確かに、和也の言う通り、今の雄介が言った『オレンジ』にはそういう意味があるのかもしれない。
「あ! それに、俺にはそのレスキュー隊員さんが働いている姿が見えてたしな。その服の色も目に入ってた。だから、『オレンジ』って雄介は言ったのかもしれねぇよなぁ? そこから何かを思い出そうとしているのか? それとも、もう思い出したのか? っていうのは分からないけどさ」
和也の推理に感心しながらも、俺はチラチラと雄介の方へ視線を向けつつ、運転を続ける。
確かに命に関わるような唸り方ではない気がする。きっと和也の言う通り、事故現場にいたレスキュー隊員の制服の色を見て、何か思い出す寸前なのかもしれない。
雄介は昔、レスキュー隊員として人命を救っていたのだから。これを思い出せれば、本当に記憶を取り戻す一歩になるのかもしれない。
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